中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

解答方法の多様性

最近、久しぶりに時間があるので、 殊勝に?教育関係の本を少し読んでいたりします。 その1冊が 「名門中学の入試問題を解けるのはこんな子ども」 (日経Kids+ おおたとしまさ) この本は著者のおおた氏と各学校の先生の対談形式で構成され、 各校の入試問…

芥川賞の「共食い」とは別

今更ながら、今年の直木賞は河崎秋子さんなのですね。 少し前の東邦大東邦中入試で出題されていました。 (「土に贖う」所収の「頸、冷える」という短編) 出題されている箇所だけでなく最後まで読んでみましたが、 人間の怖さだけでなく、 衰退していく北海…

「四十一番の少年」

井上ひさし著 表題作である「四十一番の少年」「汚点(しみ)」「あくる朝の蝉」の 3作品が収録されています。 3作品にはいずれも孤児院(作中表現による)が登場し (作者の体験に基づいているとのこと)、 それぞれ哀切に満ちた作品となっています。 以下…

サキの忘れ物

津村記久子著 「河川敷のガゼル」 2021麻布入試で出題された作品。 第一印象は正直あまり良くなく、硬い感じを受けたが、 読んでみるとまさに「麻布型」とでもいうべき内容が テーマになっており、その点では印象深い作品となった。 その関連で今回単行本も…

「さざなみのよる」

木皿泉著 夫婦でこのペンネームを使って書かれている脚本家の方だそうで。 この作品もNHKのドラマ「富士ファミリー」の前日譚のような立ち位置。 (ドラマは未見) ナスミという43歳の女性が冒頭で亡くなる。 彼女に関わった人たちの物語が1章ずつ紡がれてい…

「園芸少年」

魚住直子著 ひょんなことから園芸部として活動する羽目になってしまった 主人公たち3人(篠崎、大和田、BB)の交流と成長を描いた部活小説。 主人公たちは高1ではありますが、 小学生(男子)でも理解しやすい文章だと思います。 2009年の作品ですが、 今で…

「最果てアーケード」

小川洋子著 「漫画の原作として書かれた連作短編集」というのが珍しい。 恥ずかしながら著者作品は初めて読んだところ、 とても静かでありながら死の影がちらつく、 もの悲しさを帯びた作風に感じました。 先日目にした日経のインタビュー記事によれば、 ノ…

「異国のおじさんを伴う」

森絵都 作。 2013に麻布が「竜宮」を出していますが、全体的に内容は大人向け。 「竜宮」以外に中学入試に向いた作品は・・・ 強いて言えば「思い出ぴろり」くらいな印象。 ※2019に都市大等々力も出しているらしいが未確認。 以下せっかく読んだので 「藤巻…

「あずかりやさん」

大山淳子作 これは第1作ですが、 「あずかりやさん」は人気シリーズとなったようで、 現在4作?まで刊行されています。 以下、収録順に 「あずかりやさん」 表題作であり、 1日100円でなんでもあずかる商売 「あずかりや」の設定などが説明されています。 が…

「みつきの雪」

ちゅうでん児童文学賞 大賞受賞作品 眞島めいり 著 メインとして高校卒業前日が進行しつつ、 小4~高3までの回想シーンが巧みに挟まれていく。 交互に入っているような感じなのに違和感がない構成のうまさ。 主人公みつきと、山村留学生である行人のつながり…

「リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ」

2019年に、海城、桐朋、成城、栄光、淑徳与野、山脇、早実、など とても多くの学校で出題された文章。 印象的なタイトルが気になっていましたが、 マレーシア語で、「5.7.5.7.7」という意味なのですね。 (ほぼこれが書きたいだけで記事化) 入試問…

「家族シアター」

辻村深月作の短編集。 総じて、どの話も一定以上楽しめましたし、 一部の作品では特に、著者の実力を感じる一冊でした。 ちなみに、登場人物は「いがみあっている」に近いような 表面的にはあまりうまくいっていない関係がわりと多いです。 まず、単行本収録…

「ぼくたちはきっとすごい大人になる」

有吉玉青 著。 武蔵中 2010で表題作 「ぼくたちはきっとすごい大人になる」 に触れて印象に残ったので一冊通読。 waldstein1804.hatenablog.com どの作品もよくある切り口とは一味違ったものになっているので、 とても楽しめました。 典型的な物語文の展開で…

「水を縫う」

2021の中学受験界をある意味席巻した作品。 「刺繡の好きな男子高校生の話」ということだったので、 高校生活メインかと思っていたが、かなり違った。 主人公?と思った高校生は1章、姉は2章、母は3章、祖母は4章。 父の親友で、一家とも長年関わっている黒…

朔と新

2021年の中学入試で頻出だった作品を読んでみました。 (2023年、昭和秀英の1月入試で出題。 2021年入試における大人気ぶりによって、 その後テキスト・テスト等で何度か目にしたことがありますが、 教え子は読んだことがない、または覚えていなかった様子・…