中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

社会の基礎知識と実践練習 (2020 3月 サピックス組み分けテストから)

たまには社会についても触れてみます。

 

サピックスの社会の問題では、

細かい、こんなことを聞くのかという内容、

こんな内容はテキストに載っていなかったのでは?という内容

も結構出題されてしまう印象があります。

 

他塾では例えば、

四谷大塚の週テストSコースなどでもそういう問題はありますが、

こちらはクラス分けされていますから大きな問題はありません。

 

しかしサピックスでは全員がこのテストを受けるので、

苦手・下位の人にとってはかなり辛いテストになってしまいます。

 

そういう人にとっては、

基礎事項の確認問題ももっと出してほしいところですが、

あくまで御三家・上位校合格がこの塾の方針ですから、

そうした定番問題の出題は必要ないと考えているのでしょう。

 

ですので特に上位校を狙わない場合は

無理にこうしたカリキュラムについていく必要はありません。

例えばサピでいうデイリーチェックの内容を

テストにもそのまま一定数出す塾の方がよほど役に立つと思います。

 

 

では、膨大な知識を身につけていなければ、

このテストを攻略することはできないのでしょうか。

 

(以下、手元に問題はないので、

選択肢の内容が少し異なっていたらすみません)

 

例えば今回のテストで最後の問題は世界遺産についてでした。

自然遺産と文化遺産について細かい内容を聞いてくる

なかなか厳しいものです。

 

一見、日本の世界遺産全て、

及びその性質を把握していなければ解けないような、

かなりの難問のような気もします。

 

しかしこの問題を解く(というより世界遺産についての)ポイントは、

 

日本の世界遺産のうち、自然遺産はいくつで、具体的にどこか

 

ということです。

 

まず、日本にある世界遺産のうち自然遺産は4つです。

・知床

白神山地

小笠原諸島

屋久

 

そもそもこれを押さえていない人は、

厳しいようですがサピックスにはあまり向いていない可能性が高いです。

 

これだけをしっかり覚えていれば、

 

まず、小笠原諸島→東京都という点から、

東京都には国立西洋美術館があると連想でき、

「同じ都道府県に自然遺産と文化遺産がある」

という選択肢は正しいことがわかります。

 

国立西洋美術館は細かいでしょうか?

でも身近な東京のことですからそれは押さえてください!)

 

また、自然遺産が4個ということがわかっていれば、

文化遺産は自然遺産の5倍未満」というのは、

文化遺産が20個あるかどうか、という内容に変わります。

 

じゃあ多分正しいかな、

というのがこの問題をざっと見たときの個人的な感覚でした。

合計24個というのは多すぎる気がしましたので。

結果もそれで正解です。

 

ただ、実際は、昨年の百舌鳥・古市古墳の登録で

文化遺産19個(合計23個)になっていましたので

正直危ないところもありました。

そういうところは復習しておくことが必要です。

体験記憶になります。ヒヤッとした機会を生かしましょう。

 

他にも歴史の正誤問題で

 

「明治時代に、農業生産額を工業生産額が上回った」

「世界初の産業革命が起きたフランスの技術で八幡製鉄所が造られた」

 

という内容の正誤をそれぞれ問うものがありました。

後者は富岡製糸場(フランス)との混同を狙ったものと思われますが、

正しくはドイツの技術だそうです。

正直知りませんでしたが、まあ別にいいでしょう。

 

しかし、世界初の産業革命はイギリスですから、どう見ても×ですよね。

これを間違えた人は大反省だと思います。

 

また、前半の選択肢は難しいですが、

大戦景気で工業が盛んになり1919年に上回った

という内容を知らないと解けない、

というわけでもありません。

(ただ、世界遺産の問題同様、「これは大事だな」という内容は

 正解していても復習してしっかり覚えましょう)

 

まず、社会の基本中の基本である時代順を言えるようになっているか。

次に、だいたいいつ頃にその時代が始まったかも押さえられているか。

(現代に近づくほど正確な把握が必要ですが、

 きっちり年号まで覚えていなくても十分なんとかなります)

 

大正時代は1912~からですが、

ここでは別に1・2年違っていても大した問題ではありません。

重要なのは「八幡製鉄所ができて10年ほどで明治は終わっている

ということです。

 

富岡製糸場でわかるように、

明治初期から、日本はずっと生糸中心でした。

 

その短い間に工業生産額が農業生産額を抜いたのでしょうか。

なんとなく違うのではないか、と考えられれば十分です。

 

八幡製鉄所のできた年というか操業開始(1901)

は覚えたいところですが、

もし無理なら日清戦争の後(その賠償金で作った)だということから、

1890年代後半程度の認識でもいいです。

 

ここまで述べてきて、何が言いたいかというと、

基本知識は直接問われない点で難しいが、

基本知識をしっかり使いこなせば正解できる、

または選択肢をある程度絞ることができる、ということです。

 

このように、

基本知識を実際につかいこなせるかどうか、

を問う問題となっていますから、

現状ではそれどころではないレベルの人も多いとは思うものの

(繰り返しですが、

 最終的に必要ない人は無理に取り組む必要はありません)

実践練習としては貴重です。

 

どういう考え方で解けば解きやすかったのか、

前提となる基本知識はなんだったか、解説で覚えるべき内容はどこか

などを考えながら(できれば誰かが指摘しながら)

復習するといいと思います。

 

ちなみに前半の「カルデラ」が正解の問題は難しい、いい問題ですね。

池田湖が九州最大の湖であるか、

九州の最高峰がどこかを知らないとできません。

後者の方が比較的基本知識かな、という気がします。

 

九州最高峰は宮之浦岳屋久島)、四国は石鎚山

西日本に2000m超えの山はない。

 

というのはこの機会に覚えてください!

 

これは高校地理の範囲なので覚えなくてもいいですが、

屋久島は亜熱帯から亜寒帯の気候をもっています。

その理由がこの高い山です。

 

高い山があるとその手前に雨が降るのは

越後山脈とか瀬戸内気候とかで学習済みですね。

屋久島は「洋上のアルプス」とか「1月に35日雨が降る」と言われます)

 

(ちなみに西日本に2000m以上の山がないというのは

以前どこかで出た際に知らなかったので覚えました・・・)

 

社会は単発知識を丸暗記するだけの科目ではなく

知識を関連付けていつでも使えるようにする科目です。

広く興味を持って、知識がつながる面白さを実感してほしいところです。