衆議院の優越について
(細かめの内容を含みます)
法律案
・両院協議会は必須ではない。
・衆議院が出席議員の3分の2で再可決すれば成立。
・参議院に送付してから60日経つと、
参議院が否決したとみなすことができる(みなし否決)。
その後、衆議院が出席議員の3分の2で再可決すれば成立。
※サピックステストについて下記で述べます。
何か誤り等あればご指摘くださると幸いです。
条約の承認、予算の議決、内閣総理大臣の指名
そこで意見が一致しない時は、衆議院の議決を優先。
条約と予算は参議院に送付してから30日、
内閣総理大臣の指名は同じく10日以内に
このように、上位者は1と2を意識してください。
正確な知識になると思います。
参考:なぜこうした期間内に議決しないことがあるかというと、
ねじれ国会等の場合に、参議院の意に沿わない法律案を放置して、
国会の会期切れを狙う、といった戦略があるからです。
(予算の議決などでも同じです。)
そのための規定が設けられています。
(ただ単にサボっているということも
あり得ないことではないかもしれませんが、基本的には違います。)
また、他の3つは期限が過ぎたら即自然成立ですが、
法律案は否決しものとみなすことが「できる」
だけであり、またその場合も再可決が必要なのは、
法律は国民の権利を縛る可能性が上記の中でも特に強いため、
慎重な手続きとなっています。
大問3の(3)2、
(食品ロス削減推進法の成立過程についての出題)
この法律の成立過程についてもっともふさわしいものを1つ選べ
選択肢ア
「3月2日の衆議院本会議で可決した翌日に参議院が法律案を受け取り、
5月24日の参議院本会議で出席議員の過半数の賛成により可決し、成立した。」
これが×となっていますが、少し疑問を感じました。
確かに、60日は過ぎていますが、
あくまで、憲法59条4項は
「否決したとみなすことができる」
となっています。
これは音読したこともあるので自分でも覚えています。
とすると、
60日を過ぎても衆議院がみなし否決をせずに待っていて、
その後、国会閉会までに参議院が可決する可能性は否定できません。
一応調べてみた限りでは、運用もそうなっており、
60日が過ぎても自動的な否決ではなく、
条約の承認、予算の議決、内閣総理大臣の指名の際の、
自然成立の場合とは区別されています。
(憲法に書いてあるのだから当たり前ですが)
にもかかわらず、
この選択肢を×だと判断できる要素はなんなのか。
アを読んでも全く分かりません。
そこで、成立過程としては
「アもイも可能性があるので両方正解」
ということになりますが、
設問の指示は「もっともふさわしいものを1つ選べ」
う~ん・・・
仮に、
食品ロス削減推進法の成立過程そのものを具体的に知っていれば、
アを×だと判断できるのかもしれませんが、
もしそうだとすればあまりに細かすぎ、
入試対策として何の意味もない問題となります。
解説していて、すぐ説明できず困りました。
これについて、組分けテストの解説では
「法律の成立過程は、衆議院で可決したのち、
参議院は60日以内に議決しないと否決したとみなされます」
「(アの選択肢は)衆議院の可決から60日以上経過してから
参議院が可決したという内容なので誤り」
と書かれていますが、これは誤りだと思います。
問題作成される先生が勘違いされたのではないでしょうか。
自分も間違っていることはあるので、偉そうには言えませんが、
この点については、条文を音読したことがないのか、
(音読した経験があれば書いていて疑問に思うはず)
他のサイトなどでも、間違った解説をしているものがあります。
一応気を付けておきましょう。
「否決したものとみなすことが『できる』」です。
この記事は予約投稿する予定でしたが、
以上の理由から即時更新にしておきます。