中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

6年秋 模試(テスト)と過去問

9月も後半になりましたので、

今回はこのテーマについて考えてみたいと思います。

 

秋になると概ね毎月行われるのが大手塾の模試です。

難度や形式に多少の差はありますが、

総合的な実力がついているかを問う、という点では共通しています。

 

各塾とも、通常、この模試の結果から入試資料を作成しますので、

一番信ぴょう性があると考えていることがわかります。

 

一方、9月ともなるとそろそろ過去問が気になるところです。

塾から指示されていたりして、

「夏休みから結構やってるよ」というケースもあると思います。

 

 

色々なテスト、過去問、日曜特訓などでとても忙しいこの時期、

こうした結果を踏まえ、どういう方針で勉強していけばいいのでしょうか。

 

 

1.「志望校よりも、上記各塾の模試の難度の方が明らかに高い」という人

(目安:四谷偏差値50未満

 

秋になっても抜けはたくさんあり、

まだまだ基礎が固まっていないと思います。

不安だと思いますが、ライバルもだいたい同じ状況です。

これからどれだけ基礎を固められるかが勝負です。

 

過去問は基礎が多少固まってからやればいいでしょう。

併願校の志望度なども鑑みて過去問スケジュールが大丈夫そうなら、

11月以降開始でもいいと思います。

(本人の手ごたえとして、先に1回やってみるのはあり)

 

2.「志望校と、上記模試の難度にそこまでの差はない」という人

(目安:四谷偏差値55前後

 

1.の人よりは基礎が固まっていると思います。

苦手単元を中心に、でも薄く網羅的に基礎を潰しましょう。

 

本番の入試および上記の模試では、

標準問題(合不合算数でいえば中盤あたりの問題)を

どれくらい解けるかがポイントとなりますので

普段の学習もそのレベルをメインとすればいいでしょう。

ただし、上記の基礎潰しの時間も必ず確保してください。

 

記述力が必要な学校、現在の偏差値に比べれば難問を出す学校

などの場合はまた対策が必要ですが、今回は省略します。

 

 

3.「志望校の方が、上記模試より難しい」という人

(目安:四谷偏差値60強~

 

今回考えたいのはこのケースです。

 

こういう人は一般的に、

志望校合格のため学校別模試や特訓を受けることになり、

普段の学習も応用問題中心となってきます。

 

目標レベルが高いので、

基礎だけ潰していればいい、というわけにはいかず、

過去問にもわりと早めに取り組むことが多いと思います。

 

上記総合型模試の結果過去問の結果

(ぶれはあるでしょうが春~くらいからの模試の傾向も含めて)によって

大まかに分類してみると、

 

Aタイプ:一般型模試も順調、過去問も順調

 

このタイプの場合、当たり前ですが、

このまま頑張ればかなり見込みがあるということが言えます。

特に問題はありません。

 

Bタイプ:模試は順調、過去問は苦戦

 

模試が順調なので基礎力、標準問題への理解度、得点力

などはあると思います。

 

早い時期に過去問で点が取れないのはある意味普通なので

本人が過去問に慣れるだけで自然と点数が上がれば最高ですし、

そうでなければ弱点を補強すればいいのですが、

志望校の算数難易度の高さやその他の特徴(記述がとても多いなど)によっては

それなりに苦労するかもしれません。

 

仮に難航した場合、第一志望の変更もありえるかもしれませんが、

そうなってしまっても比較的なんとかなります。

(一般型模試と同じ傾向の学校ならなんとかなりそうですし、

 模試で安定して取れているので

 本番に弱いということもあまりないと思います)

 

 

Cタイプ:模試は苦戦、過去問は順調

 

このタイプは、とても危ない感じがします。

原因を探ってみましょう。

 

例1:過去問の答えを見ていた

 

一番深刻なケースですね。

 

親からすれば脱力ですが、こういう子もいます。

親も解答を隠したりするわけですが、

やろうと思えば、

仕事に行っている間に見つけてコピーすることなどもできますし、

本屋で過去問の解答を覚えてくる生徒(二月の勝者)などもいるわけです。

 

いったい何の戦いなのかという気がしますが、

そういう可能性も否定できません。

 

例2:本人の性格、甘え

 

テストは緊張する、本番に弱い、といった性格的な原因や、

 

家で解いているので時間を厳格に計っていなかったり、

ケアレスミスは悔しいので

「わかっていたから」ということで勝手に〇にしてしまったり、

記述や漢字の採点が甘い、ということが考えられます。

 

実は前者は結構深刻ですが、

できるだけ実力を発揮できるように

親がなんとかしてあげたいところです・・・

 

後者は気持ちはわかりますので大人の関与が必要だと思います。

 

 

例3:(過去問の一部を)解いたことがあった

 

こちらもありえるケースです。

 

この記事でメインで書こうと思っていた内容ですが、

ここまでにやたらと長くなりました。

 

 

特に算数において、上位校志望の人は大手塾だけではなく

より高度な内容を学習していたりします。

 

学校別対策、中学への算数、オンライン講座など・・・

 

そういった教材(またはそのベース)は難関校の過去問が多いので、

見たことがある問題、類題だった、と。

 

 

最近の中学受験の算数は

 

「以前なら御三家などでしか出ず、

地頭がいい人はその場で考えて解ける、そうでなければ不合格」

 

といったような問題が、

長年の塾の分析・指導によりパターン化されて

暗記すべき常識となっていたりします。

 

近年の難関校の問題についても、

 

学校側の本来の想定としては

その場でうなって解いてほしいのかもしれないが、

 

可能であれば受験動向を分析し、

あらかじめ解法パターンを知っていた方が明らかに有利

 

というケースもあるようです。

 

(個人的には、

そういう解法暗記ゲームみたいになるのはどうなのか、

という気持ちもあったりしますが)

 

ですので、入試対策として、

そういったストックを増やしておくのは

悪いことではないと思います。

 

特に、大手模試の算数が上位で安定している人で、

他の苦手科目はないか、またはあっても多少補強する程度でよく、

算数にわりと力を注いでも大丈夫、

という人はいくらでも進めていけばいいでしょう。

 

では、何が問題なのかというと、

 

そういう対策に目を奪われる結果、

 

標準~やや難問復習が疎かになることです。

(一応、基礎はさすがにできるという前提で書きますが、

 そちらも危ないことも十分ありえると思います)

 

もっと取れるはずなのに、

一般的な模試で苦戦する(ことがある)ということは

どこかの単元(複数の場合も)がしっかり身についていないか、

ケアレスミスが多い、処理速度が足りない、などによって

得点力が低い、ということです。

 

超難問のパターン解法対策まで手を出していると、

知らないことを教えてもらえるわけですし、

難関校も近づいてくるような気がしますので、

算数が好きな人にとっては楽しいし、やりがいもあると思います。

 

一方、弱点の補強は既に習ったことの復習なので新鮮味がないですし、

自分がこんなこともできていない、

という弱さに向き合わないといけません。

 

しかも、志望校には

もっと難問が出ることはわかっているので、軽視しがちです。

 

でも受験の王道は、

みんなができる問題、できるかできないか分かれる問題、

を取りこぼさないことですよね。

 

もし、こういう傾向が続くようでしたら

学習内容の見直しを検討する必要があるかもしれません。

 

 

 

Dタイプ:模試は苦戦、過去問も苦戦

 

このタイプは、

状況としては一番厳しいことは厳しいですが、

 

考えることは

・本命校のチャレンジを続けるのか

・続ける場合の併願校の精査

 

ですのである意味わかりやすいとも言えます。

 

ただし続ける場合の併願校として

「絶対に受かる学校」とはどこなのか、

本当に大事なので慎重に考えたいところです。

 

この際、塾の担当者の「絶対大丈夫」を当てにしてはいけません。

 

担当者によってはもしかすると、

「弱気出願されて校舎の実績が落ちるのは困る」

などと考えているかもしれませんし、

 

そんな考えはなかったとしても、

本人のいわゆる「持ち偏差値」と偏差値表を対照しているだけだったり、

そもそも、その「持ち偏差値」とは秋の模試の平均偏差値だったりします。

 

本命はチャレンジなので、

厳しい結果になる可能性が高いでしょう。

 

本命校の入試で全然できなくて夢破れ、

仮に「2月1日の夜に号泣し、明日は受けに行きたくない」

さらに、他に実質的に通える確保校はないので重圧もかかる、

 

といった状態だとしても絶対に受からなくてはならないので、

平均偏差値を見ただけではあまり参考になりません。

 

本人の性格、受験の流れ、問題の相性などもよく考えた上、

 

例えばですが、

6年秋以降で一番悪い模試の偏差値マイナス10、であれば

なんとかなることが多いようには思いますが、

どうなるかはわかりません。

 

全体的に苦しい作戦になりがちですし、

「受験者が分散してチャンスである2月1日を

 チャレンジでみすみす失う」(二月の勝者:上杉母)

ことも確かに大きいです。

 

ただ、本人熱望のチャレンジ校が3日というケースでは、

受けさせてあげても・・・と思ったこともありました。

なかなか難しいところではあります。