中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

6年後半、上位生算数学習の危うさ

先日、開成中学の2022算数についての記事を書きました。

 

前半は自分で解いてみた雑感などですが、

後半は「合否を分けるポイントはAランクの問題」といった内容です。

 

waldstein1804.hatenablog.com

 

今回は、以前より気になっていることを書いてみます。

 

それは、難関校の(男子)受験生が

「難問のパターン演習を追いすぎているのではないか」

 

ということです。

 

特に、塾の内容に加えて独自でもどんどん対策しよう、

という、熱意のあるご家庭は注意だと思っています。

 

昨今の難関校の算数は、

パターン暗記だけで解かれないように工夫を凝らす学校と、

対策を練り、パターン化させていく塾のいたちごっこになっている、

などとも言われています。

 

確かに、一部の難問についてはそうでしょう。

「合格者でもあまり解けていない問題」

「その回の入試問題のうち、もっとも難しい問題」といったあたりです。

 

ただそうした問題も、問題によっては

事前に解き方を知っていればあっさり解けるケースもあり、

 

そこで、

→男子難関校を受けるのであればこうした対策が必須、

という意識になり、難問の解法にどんどん触れさせインプットしなければ、

となるのだと思います。

 

確かに、合不合で算数9割・合格力判定サピックスオープン150点連発、

といった成績であれば、抜けはあまりない状態だといえるでしょうから、

そうした問題も解き切って

本番で9割以上など、高得点を目指すのもいいと思います。

(他科目に穴がなければ、という前提です)

 

一方、御三家受験生と言っても、

大多数を占めるボーダーラインの子(サピ60、四谷65くらいなど)に

そこまでの力はありません。

 

こうした子はサピックスオープンや合不合で、

難関校におけるいわゆるAランクの問題

もぽろぽろ落としていたりします。

 

※(そもそも「難関校に受かるためにはAランク」というだけで

一般的にはそれなりに難しい、

間違えやすい問題だということも忘れられがちで危険)

 

ところがここが曲者で、

どうしても甘えが出てしまうケースも多く

 

うちの子は「御三家志望」「算数は得意」「実力はある」

といった意識も働き、

 

「たまたま間違えただけ」とか「実力からすれば本当はできた」

ということで、本格的な補強どころか、

テストで間違えた問題の復習や類題を解く、ということもなく

上記のような難問パターンの習得に労力を費やすケースもあるように思われます。

 

しかし、そういったレベルの問題を何かしら毎回間違えるということは、

「この問題は解ける」と思っていても、

「どんな時でも素早く確実に」解けるようにはなっていないわけです。

 

実際には、そうしたレベルまでたどり着いていないと、

重圧のある本番で取り切ることはなかなかできないでしょう。

 

そうした問題を落として涙を呑むケースを見るのは辛いので、

勇気を出して手元を固めて欲しいなと考えています。

 

 

以下は個人的な実感として。

(推測は的外れかもしれません)

 

御三家を受けるような(特に男子)だと、図形の能力が凄かったり、

なにかしら得意なものを持っていて、凄いなと思うケースもあります。

 

ところが、こういう子も意外と思考力問題※が解けません。

 

※そんなに難問というわけではなく、

難易度としてはせいぜい上記のAランクといったものです。

 

典型題が一ひねり、二ひねりされており、

ひねられた部分について、

「これってこういうことだよね」「何かルールがあるんじゃない」

というように、思考で補うことを求められる問題。

 

一方でかなり難しい図形問題をさくっと解けたりするのに、

一読して解き方が思いつかない問題にはすぐお手上げ。

 

これまでは

「問題解いてみようか」となった際、

 

すぐに「わかりません」「無理」

というリアクションをするのは

 

いわゆる算数苦手層が多い印象でしたが、

「そうとも限らないのかな」と

考えさせられたケースがいくつかありました。

 

そこで、なぜこういうことになるのかを

自分なりに少し考えてみたところ、

自分でしっかり考える訓練が足りないのではないかと思いました。

 

今は解説動画なども充実していますし、

(算数テキストの全問題について自前で用意している塾などもあるようです)

個別や家庭教師などへのアクセスも手軽になっています。

もちろん、親が熱心に教えるケースも結構あると思います。

 

そうやって、すぐに教えてもらえる環境があるというのは

素晴らしいことではありますが、

 

「困ったらすぐ聞けばいい」と自分で考えなくなってしまう恐れが、

もしかすると上位生にもあるのかもしれません。

 

(インターネットもなく、

上記のような補強サービスが充実していない時代は、

自分で解説読んだりして考えないと、そもそも上位になれなかった、はず)

 

もちろん、集団塾では6年生にそういう考える力を養うはずなので

それに乗っていければそれでいいです。

 

実質的に解法の暗記で解くしかないような難問ばかりやるのは

 

・そもそも実力を客観視できていない

・バランスが悪すぎて危ない

 

という危険性もあるのでは、

 

というのがこの記事の趣旨ですので。

 

 

 

個人的な話であまり参考にはならないと思いますが、

自分の受験時のことを書いてみます。

 

当時、日曜テスト以外の通塾は

算数の(なぜか)標準的なクラスに1日だけ。

(当時の四谷大塚は、平日の通塾は義務ではなく選択可能)

 

毎週の日曜テストの勉強は自分で勝手に取り組んでおり、

親は算数の一部(怒られるだけであまり意味はなかった印象)

以外はほぼノータッチ。

 

算・理のわからない問題はとにかく予習シリーズの解説を読み込んでいました。

(社会は暗記と用語の漢字練習、

 国語は、自分で言うのもなんですが、

 読書の効果により語彙力・読む速度・読解力など基本的な力は

 かなり高かったので、漢字の書きとたまに季語の暗記程度)

 

解説を読んでは考え、読んでは考え。

その繰り返し。

 

もちろん、

いくら考えてもわからないものは最後まで放置されてしまったので、

本当はそれだけではダメ※なことは明白ですが、

よく考える練習にはなっていたのでしょう。

通塾は苦痛でしたが、一人で考えるのはあまり苦にならない性格でした。

 

※例えばニュートン

(当時はそういう言葉があったのかも定かではないですが)

の解法はよくわかっておらず、

出題されるとその都度考えて場当たり的に解いていました。

難問になると時々解けないこともある上、

おそらく時間も余分にかかっていたはずです。