中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

読書(ジブリ?)を通してお約束の展開を意識する

文章には、いわゆる典型的な展開というものがあります。

 

例えば、

「初めは嫌な奴という印象だったけど、実はいい奴だった」

というようなものです。

 

こうした展開を意識できている人の場合、

 

嫌な奴が出てきた段階で

「多分、仲良くなるんだろうな」

「どうやって仲良くなるのかな」

 

などと予測することができます。

 

国語のテストで文章を読む際、

こうした典型的な展開を意識して読めれば、

 

話の流れのみならず

気持ちの動きすら予測できる可能性が出てきますので、

かなり有利になります。

 

ところが、多くの小学生、

特に国語を苦手とする人はこの能力がとても弱いです。

 

こうした典型的な展開というのは、

様々なタイプのストーリーに触れなければ体験できませんから、

読書の幅が狭い、興味の幅が狭い、という人には厳しくなります。

 

冒頭の例よりも、

もう少し入試に出題されそうなテーマについても考えてみましょう。

 

最近のトレンドとして、

多様性とか、個性についての文章もよく目にします。

(個人的には、話の流れが典型的すぎるのであまり面白くありませんが)

 

「周りと違うこと(趣味・将来やりたいことなど)に悩んでいる主人公が、

 あるきっかけ

(だいたい、周りの目を気にせず、自分らしさを大切にしている人が登場)で、

 自分らしさを大切にしてもいいんだということに気付き、自信を持つ話」

 

といった内容で、具体的には

料理男子の話、機械(旋盤技術だったでしょうか)女子の話、刺繡男子の話

色々ありますが、どれも同じような展開のことが多いです。

 

「最初にそんな感じで悩んでいる人が出てきたから、多分こうなるだろう」

と思って読んでいればだいたいその通りになるので、

文章を読むのが結構楽になると思います。

 

※1こうした文章を出題しているので「多様性に理解のある人来てね」という

学校なのかと思いきや、実際は制服強制、校則も厳しいというケースもありえそうです。

このあたりは、大人の事情、ということでしょうか・・・

 

※2大変な読書家のため、

こうした「お約束の展開」に飽き飽きしてしまい、

百科事典ばかり読んでいるという達人が

「最果てアーケード(小川洋子)」に登場する「Rちゃん」です。

ここまで到達すれば、あらゆる物語文はお手の物、

ということになりそうですが・・・

 

waldstein1804.hatenablog.com

 

ではどうすればそうした力がつくのかというと、

 

少年少女世界文学全集のような

国籍も性別も違う、様々な展開の話を読んでくれることが理想です。

 

もちろん、あくまで結果的に入試にも役立つよ、という話ですので、

読書を楽しむことが何より大切です。

用意しておいて好きなものを読ませる、読みたがらない作品は読み聞かせる、

といった程度で十分だと思います。

 

また、どうしてもダメであれば

例えばジブリ作品などでも簡単な内容を学ぶことはできます。

こうした展開の意識付けには一応有意義かもしれません。

 

(冒頭の「初めは嫌な奴だったけど、仲良くなった」

という例として、魔女の宅急便(トンボ)、となりのトトロ(カンタ)、

耳をすませば(清司)など)

 

※5年後半、6年生になっても、

このような力がほとんど無い中学受験生はたくさんいます。

応急処置としては塾の授業やテストでそうしたテーマに初めて触れ、

考えたことのなかったような内容を理解していくことになりますが、

(「あ、これは自分らしさを大事にすることは重要なんだ、というテーマか」

 といった気づきなど)

正直、国語が苦手な人がそうした授業を聞くだけで扱った内容を整理でき、

どんなテーマが出るかわからない入試問題にある程度対応できるようになるかは

かなり怪しいところです。

 

できるだけ早いうちから

少しでも自分で意識できるようにしておくことで、

4年生で扱う文章からもより多く学ぶことができますし、

難度の高い文章を理解する基礎力になってくれると思います。