中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

社会の思考力問題

さて、突然なのですが、

 

色々と問題が露見しているオリンピックは

3兆円、もしくはそれ以上の経費がかかっているとも言われています。

 

個人的にはこのお金があれば、いわゆる獣害対策をしたい。

基金を作って食肉加工場建設の補助金を出したり、

ハンターへの生活補助、ハンターの新人養成支援などのために使うのです。

 

 

今、全国各地で獣害が深刻な問題となっていることは周知のとおり。

国語の文章でもちょくちょく出ますので、

この話を全く知らないというのは不利だと思います。

 

ちなみに、国語の文章では「里山」は頻出で、

獣害の増大はこの里山が機能しなくなったことも大きい、

ともよく出てきます。主に過疎の影響ですね。

 

この点、食肉加工場やハンターが増えれば過疎対策になります。

また、ハンターに関してはかなり高齢化していますので、その点でも有意義です。

同様に、獣害の影響で離農する農家を減らす効果、

新規就農を促す効果があるかもしれません。

 

また、獣害の影響は農作物という人間の営みだけにとどまりません。

生態系のバランスが崩れていますので、

例えばシカの食害で尾瀬の植生に深刻な被害が出ているというように、

自然そのものの形が変わりつつあります。

 

ですので、人間の仕組みで言えば、

国立・国定公園などの維持という点でも有効です。

 

 

また、社会で必須の内容として食料自給率が出てきます。

現在日本の食料自給率はカロリーベースで37、8%くらい。

 

そのうち肉類は一応50%を超えていますが、

家畜のエサを輸入に頼っているため実質はもっと下がる、

というのは中学入試では結構よく出る記述問題です。

 

 

シカやイノシシなどの肉をもっと利用できれば、

(焼却処分されることもかなり多いのが現状のようです)

この問題にも多少の貢献が見込めます。

 

エネルギー安全保障という言葉はよく意識されると思いますが、

食料も安全保障上非常に重要な観点で、

これらの観点についての記述問題はちょくちょく出ているかと思います。

 

「1つの国からの輸入に頼っているとどのような問題があると思いますか。

その問題を解決するためあなたが考えることを書きなさい。」

 

といった感じです。

 

 

また、牛などを育てる過程では、反芻動物特有のげっぷにより、

温室効果がかなり高いメタンがたくさん排出されるということもあるので、

地球温暖化とも無関係ではない話です。

 

さらに、最近中学入試でも見かけるようになった新顔用語、

バーチャルウォーター」「フードマイレージ」という観点からも有効です。

家畜の飼料としてトウモロコシなどを大量に輸入しているわけですが、

これを減少させることができます。

 

※「バーチャルウォーター」については一応説明しておきますと、

「仮想水」つまり、

「意識していないけど実は使っている水」というイメージです。

 

まだまだ世界の人口は増え、

今後「水戦争」が加速する、という観点からの用語です。

 

飼料用トウモロコシなどの栽培は他国に頼っており

その際に大量の水が使われていますので、他国の水不足は他人事ではなく、

日本にとっても問題となる、という考え方です。

 

まだ考えることができるとすれば、

交通機関の維持という観点も一応挙げることはできると思います。

野生動物との衝突による列車事故を減らすことができるかもしれません。

 

 

どうでしょうか。

 

社会のつながりというものが感じられたでしょうか。

もちろんまだまだ色々なつながりというものはあると思いますが、

 

中学入試で比較的取り上げられる内容を盛り込んで

これだけ書くことができます。

 

実際、栄東中学では、

 

農家の6次産業化について具体的に何をするか述べよ

 

といった問題が出題されています。

 

6次産業化というのは

 

第一次産業である農業など

第二次産業である工業など

第三次産業であるサービス業など

 

を「全て組み合わせる」という意味の言葉なので、

 

「農家が作ったイチゴを自分たちの工場でジャムにして、

都内のレストランに自分たちで売る」というような内容が正解になります。

 

6次産業化は比較的定番なので、

これくらいであれば少し意識すれば何とかなると思いますが、

思考力重視の傾向は強まっていますので、今後どうなるかはわかりません。

 

思考力の圧倒的頂点に立つ、

と言い切ってもあまり異論は出ないであろう

麻布の社会(理科)の問題でなくとも、

 

浅野中学の社会のように、

その場で考えさせた内容を長文で記述させる学校もありますし、

海城中学も(資料でかなり誘導されてはいますが)

長文記述を出すことで有名です。

 

渋谷幕張中などにもそうした傾向はありますし、

 

いわゆる東京問題以外は基礎~標準問題ばかり出していた

開成中の社会でも少しずつそういう問題を出されているような印象はあります。

 

おそらく大学入試共通試験の影響だと思いますが、

こうした傾向は中堅校でもわりと目立ってきていますので、

今後はより大事になってくるでしょう。

 

 

社会はすごく細かい内容も一部出るようになってきて、

確かに全部覚えるとなると大変に感じます。

 

例えばサピックスで最近テキストに載っている、

お雇い外国人の名前。

 

中学受験では昔から

大森貝塚のモースと札幌農学校のクラークは有名ですが、

 

その上に鉄道のモレル、富岡製糸場のブリュナ。

誰ですか?という感じですがサピックスのテストでは出たりします。

 

また、定番の人物に関しても、

クラークは北海道大学でも教えたかどうか

(実際は、帝大が設立される前に帰国)

などもサピのテストで出題ありました。

 

こんな内容はほとんどの受験生は知りませんから、

はっきり言って完全に無視しても大丈夫です。

仮に出てもほぼ差はつきません。

 

それより、こうした関連性の結びつきを強くする方が大切で、

小学生新聞などを読むことはとてもいいと思いますし、

さらに、「今解き教室」などにももし取り組めれば効果があるでしょう。

 

ただ、興味がないと(多少あっても)一人ではなかなか難しいですので、

親や先生など周りの大人にそうした話を日々色々してもらえると

力になっていくと思います。