木皿泉著
夫婦でこのペンネームを使って書かれている脚本家の方だそうで。
この作品もNHKのドラマ「富士ファミリー」の前日譚のような立ち位置。
(ドラマは未見)
ナスミという43歳の女性が冒頭で亡くなる。
彼女に関わった人たちの物語が1章ずつ紡がれていくというスタイルではあるが、
ナスミという女性は非常に気持ちのいい人物であり、
あまり湿った感じにならない。
テーマからして構えてしまったものの、
意外にさわやかに読み進めることができました。
2020年に聖光学院で出題されたのはナスミの中学時代。
共に喪失感を抱えていた男子とのエピソード。
なるほど、まあここはわりと出しやすいところかと思います。
さらに、某テストで終盤のシーンからの出題を確認。
日出男(ナスミの夫だった)と後妻との娘、光(8歳)の視点が描かれる章。
人間関係が複雑であり、中盤から描かれている柱時計のエピソードも
ここだけ読むと唐突に感じて戸惑う。
そのあたりも意図的に出しているのでしょうが、
テーマも含めてなかなか難しい問題でした。