中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

2018麻布中 「緑の子どもたち」

表題作がやや印象に残ったので、所収されている

「短編ベストコレクション現代の小説2018」

を読んでみました。

 

深緑野分氏の表題作はSFファンタジーのような小品。

 

「物語を読み解く能力に挑戦してくる作品である」

と解説文にあるように、一見やや大変かと思いましたが、

あくまでこれまで指導した子の感触では、

意外と苦戦していないようです。

 

教える側も、先入観なく臨むことが大事だなといつも思います。

 

 

他に印象に残った作品

 

「りゅりゅりゅ流星群」 雪舟えま

 

ボーイズラブの青春小説。

あまり読んだことのないジャンルながら、

さわやかに読み進めることができました。

もしかしたら中学入試にも出るかもしれません。

 

 

「頸、冷える」 河崎秋子

 

北海道別海町出身で、酪農業との兼業で執筆していた、という方。

(以前の記事では専業になるようなことを述べていたのでもう違うかも)

 

根室でミンクの養殖業を営んでいた青年の周囲を描いた作品。

 

ネタバレになるので詳細は控えますが、

これはちょっと中学入試には出せないよね、と思っていたら

2019に東邦大東邦が出していました。

 

確かに途中の部分ならまだ出せるか。

 

北海道はまだ開拓されてからそれほど間がないですし、

厳しい気候なので、哀切漂う感じになっていくのでしょうか・・・

悲しいと同時に、とても迫力のある作品でした。

 

この作者の、北海道の廃れていった産業たちを

テーマにしたらしい一冊がこちら。

(「頸、冷える」も所収されています)

 

土に贖う (集英社文庫) | 河﨑 秋子 |本 | 通販 | Amazon

 

※追記 この記事の草稿は少し前に書いているのですが、

その後、河崎氏は2024年1月に直木賞を受賞されています。