印象に残った問題文
表題作がやや印象に残ったので、所収されている 「短編ベストコレクション現代の小説2018」 を読んでみました。 深緑野分氏の表題作はSFファンタジーのような小品。 「物語を読み解く能力に挑戦してくる作品である」 と解説文にあるように、一見やや大変かと…
井上ひさし著 表題作である「四十一番の少年」「汚点(しみ)」「あくる朝の蝉」の 3作品が収録されています。 3作品にはいずれも孤児院(作中表現による)が登場し (作者の体験に基づいているとのこと)、 それぞれ哀切に満ちた作品となっています。 以下…
「トムは真夜中の庭で」で有名な著者の、表題通りの短編集。 2002年の出版なので、著者晩年の作品。 以下、備忘も兼ねた簡単な感想 ◎「ロープ」 1986年(初出?年。以下同じ) 2006年麻布中で出題。 まだ幼さを残した男子の矜持・友情などが瑞々しく描かれて…
文章には、いわゆる典型的な展開というものがあります。 例えば、 「初めは嫌な奴という印象だったけど、実はいい奴だった」 というようなものです。 こうした展開を意識できている人の場合、 嫌な奴が出てきた段階で 「多分、仲良くなるんだろうな」 「どう…
小川洋子著 「漫画の原作として書かれた連作短編集」というのが珍しい。 恥ずかしながら著者作品は初めて読んだところ、 とても静かでありながら死の影がちらつく、 もの悲しさを帯びた作風に感じました。 先日目にした日経のインタビュー記事によれば、 ノ…
有吉玉青 著。 武蔵中 2010で表題作 「ぼくたちはきっとすごい大人になる」 に触れて印象に残ったので一冊通読。 waldstein1804.hatenablog.com どの作品もよくある切り口とは一味違ったものになっているので、 とても楽しめました。 典型的な物語文の展開で…
2021年の中学入試で頻出だった作品を読んでみました。 (2023年、昭和秀英の1月入試で出題。 2021年入試における大人気ぶりによって、 その後テキスト・テスト等で何度か目にしたことがありますが、 教え子は読んだことがない、または覚えていなかった様子・…
有吉玉青「ぼくたちはきっとすごい大人になる」(同名単行本所収) 突然のクラスメイトの死に対し、 周囲と異なり、戸惑うばかりで悲しむことのできない3人の小学生男子。 「大人って、理由がないと困るんだろうな。 何でも理由をつけないと受け入れられない…
中脇初枝「世界の果てのこどもたち」 出題されている部分は以下の通り。 「いつでもどこでも 自分が一番大事にされるのが当然だと思っていた」 8歳の少女、茉莉。 空襲で家族を失い、極限状態における人々の姿を目にしたことで、 これまでの価値観に疑問を抱…
佐川光晴「おれのおばさん」 父親の不祥事が原因で 「東大合格者数ナンバーワンの名門、開聖学園」を退学した陽介は 札幌で児童養護施設を営む伯母のもとに身を寄せ日々を過ごしていきます。 出題箇所は、 学校が陽介の事情を別の生徒の親に話してしまったこ…
www.aozora.gr.jp 未読の方はよろしければ読んでいただければと思います。 重い話ですので気持ちに余裕のある時に。 ・サピックスBテキストに収録されています ・東邦大東邦中、鎌倉学園中などで出題されています ・中学2年生の国語教科書にも採用されていま…
「波紋」ルイーゼ・リンザ 主人公の少女から見た、 叔母さまのキリスト教に基づく人間愛について描かれており、 ある章が丸々出題されています。 (印象に残ったので原典を読んでみました) 学校によっては、時折意識して こうした宗教的な内容を含んだ文章…
2014年(平成26年)文教大附属中 大問2ではチェーホフの短編が全文出題されています。 「太っちょとやせっぽち」 外国文学を出題する学校はそれなりにありますが、 こうした短編の小咄が出題されるのは珍しいと思います。
鏡に映った自分の姿を認知することができるのかという話。 ・人間は、2歳くらいになれば可能。3~4歳であれば確実。 ・サルは、(種類にもよるかもしれないが)認知できない。 ・チンパンジーは認知することができる。 口紅を塗ったあとで鏡を見せ、 赤い…
このカテゴリーには、 問題文を読んで印象に残った内容を不定期で書いていこうかなと思います。 受験対策とは特に関係ありません。 説明・論説文と物語文を分けるかは今のところ不明ですが、 前者の方が多くなるような気はします。 帰化植物であるセイタカア…
「子供のいる駅」黒井千次 「日本幻想小説傑作集Ⅰより」 先日サピックスのテキストで扱った文章。 中学入試でもどこかで見たことがあります。 ※追記 1990年に麻布で出題されたという情報を入手。 確認できていないのですが。 こうした幻想小説は個人的には好…