先日サピックスのテキストで扱った文章。
中学入試でもどこかで見たことがあります。
※追記
1990年に麻布で出題されたという情報を入手。
確認できていないのですが。
こうした幻想小説は個人的には好きだったので今も楽しいですが、
あまり馴染みがない人が慣れるにはちょうどいい題材と思います。
本題の背景事情ですが、
この作品の序盤で、
「一人で電車に乗って出かけるという点が父親の出勤のようだ」
ということで、
主人公は大人になったような気がして
2本の指を立て、たばこを吸う真似をします。
ところがそうしたタバコへの憧れ(=大人の象徴)という感覚は
今の子供の中にあまりないため共感はできないと思います。
本作では直前にはっきり理由が書かれているので、
「なぜこうした仕草をしたのか」と聞かれても
問題としてはそう難しいものではないですが、
昔の日本では喫煙率が非常に高かった、
ということを知っておいて損はないでしょう。
「日本幻想小説傑作集Ⅰ」は1985年出版のようですから、
この作品はそれより前のものということになります。
戦時中の様子といったメジャーな背景事情の変化ではありませんが、
備忘録として書いておきます。
こういうものは意外とたくさんあふれていますので
出てくるたびに説明していきたいところです。
「黒電話」「友人の家に電話をかける際、緊張する気持ち」
「トンネルで列車の窓を閉める理由」など