中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

背景事情の変化

「子供のいる駅」黒井千次 「日本幻想小説傑作集Ⅰより」

 

先日サピックスのテキストで扱った文章。

中学入試でもどこかで見たことがあります。

 

※追記

1990年に麻布で出題されたという情報を入手。

確認できていないのですが。

 

 

こうした幻想小説は個人的には好きだったので今も楽しいですが、

あまり馴染みがない人が慣れるにはちょうどいい題材と思います。

 

本題の背景事情ですが、

 

この作品の序盤で、

  

「一人で電車に乗って出かけるという点が父親の出勤のようだ」

ということで、

主人公は大人になったような気がして

2本の指を立て、たばこを吸う真似をします。

 

ところがそうしたタバコへの憧れ(=大人の象徴)という感覚は

今の子供の中にあまりないため共感はできないと思います。

 

本作では直前にはっきり理由が書かれているので、

「なぜこうした仕草をしたのか」と聞かれても

問題としてはそう難しいものではないですが、

 

昔の日本では喫煙率が非常に高かった、

ということを知っておいて損はないでしょう。

 

「日本幻想小説傑作集Ⅰ」は1985年出版のようですから、

この作品はそれより前のものということになります。

 

戦時中の様子といったメジャーな背景事情の変化ではありませんが、

備忘録として書いておきます。

 

こういうものは意外とたくさんあふれていますので

出てくるたびに説明していきたいところです。

 

「黒電話」「友人の家に電話をかける際、緊張する気持ち」

「トンネルで列車の窓を閉める理由」など