中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

2020年、開成中 国語

面白い問題だったので少し触れてみたいと思います。

 

問題文は過去問、四谷大塚のデータベース等でご覧ください。

 

物語文は女子の人間関係ドロドロ話で、

時々目にしますが基本的に男子にはかなり酷な内容です。

 

開成の受験生ならそれなりに対応できたでしょうか。

 

問1~問4はまあ何とかなると思うので

そこでボロボロの問題が出てしまうと合格点は厳しくなると思います。

 

問題は問5 

「カナが、まやまやを攻撃しなかったのはなぜですか」

 

なかなかの難問ですね。

そういう問題は出さないこともある開成で、

思いっきり心情を聞いてきていて、しかも女子ドロドロ。

 

模範解答などは適当に参照していただければと思います。

 

実際にこの問題が出てしまったら、どうするか。

 

まず、

・この問いに一発で即答できるような人

ほぼいないと思いますので無視します。

 

・すぐ答えは作れないが、カナの気持ちは推定できる、という人

まず気持ち言葉を考えて、

文章校正などを試行錯誤してから書き始めてください。

そういう人も少数派だと思います。(開成受験生でも)

 

・とっかかりがなかなかつかめない人

 

まず考えるのは、そういう場合に

これまでどうやってきたか、という点です。

 

そうです、設問を利用してください。

(思いつかない場合は練習不足です)

「カナが、まやまやを攻撃しなかったのはなぜですか」

 

僕が勝手に考えた高等?テクニックですが書いてしまうと、

設問に「攻撃しなかった」とあるので、

 

とりあえずその反対攻撃したらどうなるのか」を考えます。

 

「攻撃」というのは抽象的な言葉ですから、

具体的にはどうするのか、そういうシーンを想像してみてください。

(開成志望ということは、そういう練習もしてきましたよね?)

 

自分が好きだった小磯から告白されていたまやまやに対して、

とにかく負けず嫌いのカナがとりそうな態度・・・

 

「抜け駆けするなんて汚い」「なんでアンタなのよ」

「不細工のくせに(まやまやは美人かもしれませんが)」

ガリベンのくせに(塾で忙しいので)」

「調子に乗ってるんじゃないの」

 

場合によっては「掴みかかる」などもないとは言えません。

よりわかりやすいのでそれでも別にいいです。

 

女子のやり方ですから、本文にもあるように集団無視かもしれませんが、

それだとわかりにくいので、

上記のような直接的な罵倒を問題用紙の空欄に書き出してみます。

 

「攻撃したらどうなる」→「罵倒」

(男子的な感覚、セリフでも構いません。)

 

とにかくまずここがポイントです。

 

さらに、その場合のカナの立場気持ち

なども考えて書くのが第二のポイントです。

悔しい」「裏切られた」「復讐してやる

 

負け犬の遠吠え」という言葉だとさらにいいと思います。

 

「悔しがっている姿をあらわにする」

ということは、(小磯にとっての)魅力で

まやまやに負けてしまったことを自分から認めていることになります。

 

負けず嫌いのカナにとって、それは本当に受け入れがたいことです。

「あたしが誰かに負けるだなんて!」

 

よって、カナは別の手を考えます。

負けを認めずに復讐する方法です。

 

妙案でしたね。

 

まやまやを直接責めると負けを認めたことになるので、

小磯を批判することで間接的に

(あんな下らない奴に告白されて浮かれてるなんて馬鹿じゃん)

まやまやを責める。

 

プライドが傷つくことを最小限に抑え、復讐は達成する。

おまけに、あんな男はくだらないヤツだった、

と口にすることで自分の失恋の傷も癒す。

 

まあしかしずっと書いていますが、

何の話をしているのでしょうか、これは・・・

(入試問題解説です)

 

 

さて、作業に戻ると、問題用紙の空欄に

「悔しい」などの気持ち言葉を書いたところだったと思います。

 

それを反対の内容(「攻撃しない理由」なので)に戻して、

「から」に繋げます。

 

「悔しさをあらわにすることを受け入れられなかったから」

「悔しさをあらわにすることは負けを認めることになるので、

 受け入れられなかったから」

 

とりあえずこれくらいでどうでしょうか。

 

反対の内容「攻撃(する)」という抽象的な言葉についての具体的な想像

その際の気持ち言葉ほぼメモしただけですが、

一応とっかかりができたと思います。

 

ここは問いに対してはっきり答えている一番大事な部分ですので、

これだけでも部分点はもらえるのではないでしょうか。

 

「プライド」「自尊心」という言葉がもし出てくれば

使うとなおよいと思います。

 

「プライドが許さなかったから」

「プライドが傷つけられてしまうから」

 

あとは他の要素もできるだけ入れたいのですが、

60字程度だとすると少し長くなってしまいますね。

 

そこで、

・小磯を批判することでもまやまやへの復讐が達成できる

・失恋の傷を癒せる

 

どちらかを入れることになりますが、

正直どちらも難しい内容だと思います。

 

現実的にはプライドを思いつければ◎

思いつけずに上記内容

(「負けを認めることになるので、受け入れられなかったから」)

をもう少し補足できれば〇

上記内容が全く書けなければ×

 

とおそらくなるでしょう。

(◎=現場でベストを尽くせたね、という意味です。)

 

参考例1

 

「まやまやを攻撃することは

小磯を巡る争いでの負けを認めることになるので

プライドが許さなかった上、

まやまやに告白した小磯を攻撃することで、

彼女への復讐は達成できるから。」

 

少し長いですね。

 

「まやまやへの攻撃は小磯に関しての負けを認めることになり、

自尊心が許さない。また、小磯を攻撃することで、

失恋の傷も癒され、まやまやへの復讐にもなるから。」

 

まだ長いかな。また、少し説明不足気味。

 

「まやまやへの攻撃は負けを認めることになり、

自尊心が許さない上、小磯を攻撃することで、

まやまやへの復讐にもなるから。」

 

失恋の傷は云々はカットしました。

無理やり60字以内に収めましたが、

さらに説明不足気味なので、

「まやまやに告白した」はなんとか入れたいところですね。

 

「まやまやへの攻撃は恋の負けを認めることになり自尊心が許さない上、

彼女に告白した小磯を攻撃することによって

(彼女への)復讐は果たせるから。」

 

推敲していたらなんとなく完成度が上がってきたようにも思います。

現場で書くのはほぼ無理だと思いますが。

 

 

大問2についても面白い文章でした。

 

問1は普通にやればさほど問題なく解けると思いますが、

問2の「なぜ笑い話なのか」についてはなかなか面白いです。

 

   「本末転倒」を使うと書きやすいかなと思いましたが、

   「滑稽」などでもいいかもしれませんね。

   

   より勉強に向いているはずの昼には勉強せず、

   暗い中でもなんとか勉強するための手段である

   蛍雪にこだわっている姿が本末転倒である点。