中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

記号・選択肢問題 「自分で答えを考えてから」?

記号・選択肢問題では、

なんとなく選んではダメということはよく言われます。

 

選択肢には罠がたくさんあるので、

ざっと眺めるだけ、方向性を確かめるだけでは危ない。

検討が必要です。

 

もう一つ、巷で結構よく言われているのは、

 

「選択肢を見る前に、まず自分で答えを考える」

というもの。

 

「消去法」に対比して「積極法」などと呼ばれていることもあります。

 

 

では、実際にどういう作業・手順を行ったらいいのでしょう。

その点、はっきりと書かれているものは見た記憶がないですね。

 

個人的には、

 

「このような作業をすぐできるほどに内容を理解しているのであれば、

その記号問題は簡単に解ける状態なので、結局、作業をする必要がない

 

のではないかと考えています。

 

記号問題にもいろいろあって、

よくよく考え抜かなければ解けないものもあれば、

正解以外の選択肢が明らかに間違いで、

多数の人は一瞥しただけで正答がすぐわかるようなものもわりとあります。

例えば、正答率が80%以上になるような選択肢です。

 

そのような問題の場合、

「自分で答えを考える」という作業を意識して行っているのか。

 

答えはNOですよね。

 

例えば、

「この時の主人公の気持ちはプラス、よってマイナスの言葉の選択肢は×

と多くの人は(わざわざ意識せずとも)瞬時に判断するわけですが、

 

このように、すぐ判断できるレベルの内容を

いったん立ち止まって、いちいち意識して行う人はあまりいないと思います。

 

 

一方、複雑な心情の物語文だったり、

論説文の内容を整理したりする必要がある場合もあるでしょう。

そういうケースでは、有効なアドバイスでしょうか。

 

個人的には、あまり実践的ではないように思っています。

 

まず、

すぐには理解できない複雑な内容なのに

「選択肢を見る前に、まず自分の頭の中(だけ)で整理しろ」

というのは正直、酷ですし疲れます。

受験は国語だけではなく他の科目もありますから・・・

 

まして、国語が苦手なのに実行できる人はいるのでしょうか。

(果たして本当に、そう主張する本人もそうやって解いているのか?

上から目線で「やれよ」と言っているだけではないのか?)

 

 

それよりも、選択肢をたたき台にして、

その正誤を検討する過程で、

筆者の主張や自分の思考を整理していく方が自分の経験でも遥かに楽でした。

 

以上の理由から、

個人的には、これまで一度も実践したことはなかったです。

 

また、「自分で答えを考えてから」というのは

その答えが正しい理解に基づいている、ということを前提として、

それに沿った選択肢を選んでいくという思考です。

 

しかし、いつもいつも正しい理解というわけにはいきません。

人間ですので間違えることもあり、

さらに、読解力の差によってその頻度は高くなっていきます。

 

そのような状況で、この思考(自分の理解に沿った選択肢を選べばいい

を強めていくと、思い込みから誤答してしまう危険性が高まることになります。

 

特に、小学生は慎重さ(自分の誤りを想定する能力)という点で

正直かなりイマイチな部分があります(年齢的に仕方ないのですが)ので、

その点の弊害も大きいのではないかと考えています。

 

選択肢を疑って検討することだけにとどめれば、

このような懸念はあまりありません。

選択肢をしっかり検討する過程で、

自分の誤解もある程度解消することができると思います。

 

 

それでは、積極法と消去法を組み合わせればいいではないか、

という意見もあるかもしれませんが、

 

一つの設問に対して、

違う考え方を意識的に組み合わせて行う、

または問題によって使い分ける、というのは

煩雑なので小学生にはまず無理だと思います。

 

シンプル極まりない指示ですらなかなか実践してくれないのは

世の中学受験生あるあるだと思いますので・・・

 

 

 

結局「自分で答えを考える」ことが有効なのは

 

(上記の通り、本文をほぼ理解できた人は、

 あえてこの作業を意識的に行う必要はありません)

 

・理解としては曖昧なところもある程度残っているが、

基本的にはそれなり以上の読解力がある上、

初読の際に良い読み方をしている

(具体例と筆者の意見、反対説などの部分を整理できていて、

 思考の材料が十分揃っている

 

 

という状態であり、

 

かつ、

 

選択肢(本文について他人が整理したものである上、誤りも含まれている)

をたたき台にしていくよりも、

自分の思考を一人で整理するほうが、よく本文を理解できる・好みである」

 

という人には向いているのかな、と個人的には思います。

 

色々なところで時折目にする内容ではありますので、

大学受験などではもしかしたら効果的な面もあるのかもしれませんね・・・

(個人的には意識して使ったことは全くないのですが)

 

 

※なお、抜き出し問題の場合には、

「まず自分で考えろ」というのはとても有効だと思います。

 

抜き出し問題では基本的に、

探す範囲を絞れれば絞れるだけ正答できる確率が高まります。

よって「答えがどのような内容になりそうか」をまず判断し、

範囲を絞るヒントにする必要があるからです。