中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

国語の問題形式と実力差について

 

今回は実力差が出やすい問題形式について考えていきます。

これは、個人的に昔から感じてきたテーマの一つです。

 

なぜここでわざわざ記事にするのかというと、

 

実力差が出やすいということは、

上位の子にとっては安泰な問題、

下位の子にとっては厳しい問題となります。

 

当日の逆転の余地はあまりありません。

 

もちろん、そうした想定外の合格・不合格は、

問題形式だけで決まるわけではないのですが、

あまり触れる人はいない話だと思いますし、

志望校選びの際などにも、一助として考える意義はあると思います。

 

さて、本題に入ると、

 

国語の問題には

 

・知識問題

・抜き出し問題

・記号問題

・記述問題

 

というメインの4形式があり、

 

その他、

抜き出しではないが、自分で考えた適切な単語を埋めさせるもの、

ツリー形式で(12-345-6789とかのやつです)

意味段落に分けさせるもの、

いくつかの場面に分けさせるもの、

会話文の話し手を選ばせるもの、などがありますが、

こうした問題は大問に1つくらい出るのがせいぜいですから

点数に大きくは影響しません。

(もちろん、対策をしなくていいというわけではありませんが)

よって今回は割愛することにします。

 

次に、上に挙げた4つの中で、

実力差を反映しやすい順に挙げると

(あくまで個人的な主観ですが)

 

知識問題≧記述問題>抜き出し問題>記号問題となります。

 

意外な感じでしょうか。むしろ当然だったでしょうか。

 

まず知識問題が第一位なのは特に問題がないかなと思います。

 

次の記述問題については結構意外な方もいるかもしれません。

記述問題は、多くの字数を要求されるという点で

難易度は高く、作業量も多いですが、

逆に自由度はかなり高くなっています。

力があればあるだけ、成績は安定していきます。

 

その反対が抜き出し問題で、答えが一つしかありません。

文章の要旨は十分につかんでおり、自分の言葉でならいくらでも書ける、

という場合でも本文の一か所を見つけてこなければ0点です。

全く分からなかった、という人と点数としては同じになります。

 

国語の実力を見るためにはあまりふさわしくない問題形式と言えますが、

問題作成・採点が楽なこともあって広く出題されてしまっているのが残念です。

 

では記号問題はどうでしょうか。

自由度が最も低い抜き出し問題をも上回ってなぜ最下位なのでしょうか。

 

記述問題は基本的に実力に合った点が取れるのに対し、

抜き出し問題同様、記号問題も0か100です。

しかし、抜き出しと違い、

記号問題はどんな人でも4択で当たってしまいます。

形式そのものからして、逆転の余地が比較的大きい問題ということができます。

 

また、抜き出し問題は、

要旨をあまりつかめていない人よりは

要旨は把握できている、という人の方が探す範囲も絞りやすいため、

実力と得点が逆転現象に至ることはそこまでありません。

 

こうした形式面に加えて、

記号問題では選択肢を客観的に検討する意識が必要です。

 

waldstein1804.hatenablog.com

 

それなりに難度が上がってくると、

記号問題も、要旨を掴んでいるだけではなかなかできません。

検討する意識の有無により、

場合によっては文章読解力の差を簡単に逆転されてしまいます。

 

また、国語のテストで求められているのは、

「本文から出題者が理解した内容」

です。

 

できる子になると、これまで多くの読書体験をしていますし、

登場人物に感情移入することもできます。

 

そこで場合により、深読みをしてしまうことがあります。

 

「こういうお話だから、こういう気持ちになったんだろう」

「ここではこういうことも考えたんだろう」

「今後はこうなるんだろう」

 

しかし、このテストにおいて、

本文に書いていない内容

本文から読み取れると言えない内容は、間違いなのです。

 

例えば、僕がセンター試験の国語をざっと解いてみる際、

(古・漢併せて)200点満点の年もありますが、

恥ずかしながら現代文で間違えてしまう時もあります。

物語文で、こうした深読みをついやってしまうことがだいたいの原因です。

 

ここが記号問題のやっかいなところです。

 

純粋に本文の文言と同内容、

または最も近いものを選べばいいのですが・・・

 

また、比較的語彙力があるがゆえ、

選択肢の一部表現にこだわりすぎて間違える子もいます。

「この場面でこの表現はおかしいのでは・・・?」

気持ちはわからないでもありません。

検討する姿勢も悪いことではありません。

 

しかし、選べと言われているのは「最もふさわしい」選択肢です。

「本文に寸分たがわず一致した100点」の選択肢ではないのです。

選択肢の比較でよほど悩む問題以外は、概ね合っていればそれでいい、

と考えたほうが良いでしょう。

 

このように、記号問題は、

できる子でも意外なところから点を落とすことがあります。

 

一方、力のない子は、

深読みの内容まで理解が到達していませんので、

こうした点を考慮に入れることはほぼありません。

 

「できる子ゆえに間違える」という事態が発生し、

時に逆転現象につながるのが、記号問題の怖いところで、

昔から個人的にも「やや損な問題形式だなぁ」と感じていました。

選ぶだけなので記述より楽ではあるのですが、怖いです。

 

逆に言えば、解き方をしっかり練習すれば、

読解力以上の点数を取ることができるのがこの形式です。

 

 

国語が苦手という人ほど、

しっかり練習して実践できるようにしてほしいと思います。