中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

大学入試と、記号問題の限界?

 

以前このような記事を書きました。

記号問題というのは、点数が実力通りになりにくい形式である、

という趣旨でしたが、それに関連した話題です。

 

waldstein1804.hatenablog.com

 

 

早稲田大学教育学部入試の国語解答に疑義があるとして、

著者の方が抗議しているとのこと。

 

news.yahoo.co.jp

 

問題を見ていないので何とも言えませんが、

 

この「解答が割れる」という問題は、

記号問題メインの私大入試において顕著になってしまいます。

 

選択肢問題というのは通常

「最もふさわしいもの(ふさわしくないもの)」を選ぶのですが、

 

選択肢ア~エまであったとして、順に100点、80点、50点、20点と

常に、きれいに、わかりやすく並んでいるわけではありません。

 

例えば、75点、65点、50点、40点ということもあるわけで、

難問になればなるほど、差が小さくなり、間違える人が増えていきます。

 

ということで、

記号問題を難しくする一案としては

 

・選択肢をわかりにくい文章にする

 

難解な用語を使ったり、句点を使わず一文をやたらと長くする、など、

一見してよくわからない文章にすればするほど、受験生は

「この選択肢がどれくらい本文に沿っているのか」

という判断ができなくなります。

 

そもそも選択肢の意味が分からないので、

上記の点数をつけることもできない、といった人を増やします。

 

・選択肢相互の差をどんどん小さくしていく

 

上記の例でいえば、最もふさわしいものと次点が75点と65点ですので

これはまあ十分正答できる問題だと言えます。

 

しかし、受験生の質が高く、

これではまだ不十分だということになればどうでしょう。

この差はさらに縮まり、

7点差、5点差、3点差、1点差、ということになっていきます。

 

これが行き過ぎてしまえば

「ほぼ全ての受験生にとって、試験時間内に判断するのはまず不可能な悪問」

ということになります。

 

さらに、これは国語という科目の宿痾でもあるのですが、

国語というのはあくまで作問者が文章を勝手に理解した内容に即して

答えていくものです。

 

作問者は通常、文章についてちゃんと理解しようとしているはずですが、

時に、その理解そのものが間違っていたり、

不十分だったりすることがあります。

 

そうすると上記の前提はどうでしょう。

 

作問者は文章をしっかり理解して3点差の正答を用意したつもりでも、

筆者からすればその解釈は誤りであり、

別の選択肢が正解ということになるわけです。

(上記筆者の方の指摘にはこの点も含まれているようですね)

 

選択肢の差が小さくなるように作問すればするほど、

こうした危険度はあがります。

 

何が言いたいのかというと、

本来は、難易度が高くなるほど記述問題の方が適切、

だということです。

 

採点の都合などにより、記述にできない事情もあるでしょうが、

人生を左右する入試なのですから、極力良問を出題して欲しいですね。

(下記の記事によると、作成する教員側は10か月前から始動しており、

本業に支障が出るなど色々大変だということのようですが、

だったら専門の部署を作るとか)

 

今年の名古屋大学の世界史のように、

記号がずれて解答不能、といった単純ミスなどは本来論外でしょう。

(それ以外にも、記事指摘のように、確かにアバウトな出題だとは思いました)

 

news.yahoo.co.jp

 

早稲田大学教育学部が公開した解答はこちら

(便利な世の中になりました)

https://www.waseda.jp/fedu/edu/assets/uploads/2022/03/9b243778b9edb508d469bab00bf148cf-1.pdf

 

問題はまだ公表されていないようですが、

機会があれば解いてみたいと思います。

 

 

※おまけ

 

以前、個別塾で「難度がおかしい」と話題になり、

「解いてみてください」と言われた

上智大学の国語入試問題がありました。

 

その大問には確か13問くらいあったのですが、

解いた後大手予備校Aの解答と照らし合わせたところ、

4つか5つ間違っています。

 

まあ自分がダメダメだっただけかもしれませんが、

周りの人はもっと間違えており、

 

内容にも納得できないので大手予備校B

(自分としては、こちらの方が解答の信頼性が高い)

の解答を見てみました。

 

すると2つほど正解が増え、少しはましになったのですが、

相変わらず納得いかない部分は残りました。

 

作問者が文章を誤って理解している、

塾や過去問集などの解答作成者の実力不十分や誤解などにより正答を間違える、

ということは中学受験においても十分にありえることです。

 

そういう自分も、常に正しいとは残念ながら言えません。

できるだけそういうことの無いように、自戒したいと思います。