中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

「合否は算数で決まる!」のか その1

よく言われているのは

 

1.入試結果の、合格者平均点ー受験者平均点=Aとする

2.Aのうち各科目が占める割合が何%、という数値を出す

(A=30点の場合、算数の合格者平均点と受験者平均点に15点の差があれば

 算数の寄与度は50%)

 

という作業を行うと、

「算数の占める割合が高くなる→合否は算数で決まる!」

というものです。

 

今回はこの点について少し考えてみたいと思います。

 

例として、

開成中学四谷大塚、2021第二回合不合テスト偏差値71)の

2016~2021入試結果について見てみましょう。

 

なぜ開成なのかというと、

 

まず最難関クラスの学校であることに加え、

(ずば抜けて算数ができる子も受験するので

 算数の差がつきやすいかなと思いました)

 

算・国(特に算数)の難易度と

理社の難易度に大きな乖離があることから、

 

合否に占める算数の比率が高くなりやすいように思ったからです。

 

開成中学校がHPで公表している入試データによれば 

入試状況・結果 | 開成中学校・高等学校公式サイト

 

 

A(合格者平均ー受験者平均)が毎年30点前後なのに対し、

 

各科目の占める割合は

6年の平均で算数12.5 国語9.1 社会4.7 理科5となっています。

 

大体ですが、4割程度を占めていますので

予想通り算数の比率は高めですね。

 

また、傾斜配点を考慮してみても、

(算・国各85点、理・社各70点ですので

理・社の得点差を約1.2倍します) 

 

理・社の得点差は6点程度となり、

算・国の方が点差がつきやすい問題だということは明らかです。

 

内容についてももう少し考えてみますと

 

・算数の難易度が高い

 

・理社が簡単

(6年間の合格者平均点は、社会が7割強、理科は8割強。

 理科は9割を超えた年もありました。)

 

ことは大きいはずです。

 

国語の比率が結構高い点については、

 

・漢字の出題は少なく、知識問題はない

 

・記号、抜き出し問題がない

(記述問題は一番実力差がはっきり出る)

 

ことが原因かと思います。

 

結論として開成中学は、

「合否は算数で決まる!」けれども

「国語を疎かにすると落ちる」というところでしょうか。

 

 

では、次に難関中学校の一つである

城北中学(四谷大塚、2021年、第二回合不合偏差値

     57、58、59。それぞれ第1回、2回、3回)

はどうでしょうか。

 

城北中を選んだのは上位校ではあるものの

開成受験層との重なりはあまりないことに加え、

各科目について比較的偏差値相応の難易度だと考えたからです。

 

 

2021第一回ではA=33点のうち、

 

国語6、算数12、社会6、理科9となっていますので

こちらも、算数の比率は高いです。

 

次に、算・国100点、理・社70点という傾斜配点も考慮してみます。

 

その場合、理・社はそれぞれ、6×約1.4=8.4 9×約1.4=12.6となり、

開成と違って算数が突出していません。

やはり、科目間の難易度の違いがそこまでないからだと思います。

 

また、国語についても得点差が少ないです。

城北はこのところ記述問題を多く出していますが、

開成とは異なり客観問題もそれなりに出していること、

(漢字などで誰でも一定の点が稼げる上、

その他の問題も、記述比べると実力差が反映されにくい出題形式)

記述問題も最低限の部分点はまずまず取りやすい出題であること、

あたりが原因でしょうか。

 

この部分はまだまだ分析の余地もあると思います。

 

続いて、城北中学は第2回、第3回の入試も行っています。

 

第2回はそうでもないですが、

(A=30のうち、国7、算10、社5、理8

 傾斜配点修正 国7、算10、社約7、理約11)

 

第3回はAに大きな差がついています。

(A=55のうち、国14 算21 社8 理11

 傾斜配点修正 国14 算21 社約11 理約15)

 

一般的に、こうした2月4日・5日の入試については

受験生の実力差が大きくなってきますので、

受験者平均点と合格者平均点を比べてどうこう、

という分析が持つ意味は薄れると思います。

 

こうした入試では「どの科目で稼ごう」というより、

受かる人はそもそも一握りなのでとにかく高得点を取るしかありません。

本当はこうした状況にならないことが一番なのですが・・・

 

一部の受験生については

国語の記述で部分点を取る力で大きく劣り、

他の科目では基本問題を落としたりケアレスミスが多い、

ということでしょう。

 

中でも一問の配点が高い算数では

そうした理由で大きく差が開いている、ということだと思います。

 

中学校入試情報 | 城北学園 城北中学校・高等学校

 

 

 

ここまで見てきた2校では(城北中は1年分しか見ていませんが)

概ねこちらの印象通りの差のつき方かなという気がしました。

 

開成は算数の特訓が必要、

城北は「算数が大事ではあるが、そればかりでは危ない」

という感じがしました。

 

続いて、明大中野中学校のデータを見てみることにします。

 

なぜこの学校かといえば、

(近年の附属校人気で偏差値は上がっていますが)

基本を中心とした入試問題になっているからです。

 

まずA(合格者平均ー受験者平均)は6回で44点弱となっています。

 

同じく6回のだいたいの平均としては、

国9 算20 社6 理7となっており、

 

算数が46~7%を占めているので、

かなり差がついているといえます。

 

また、算・国100点、理・社50点なので

傾斜配点を修正した場合は

国9 算20 社12 理14

 

となります。

 

これでも算数は4割弱を占めていますので、

やはり高いですね。

 

しかもこれは各回あまり変動がありませんので、

明大中野中学を受ける場合は、算数を確実にとることが

何より重要だといえそうです。

 

しかし、これだけ差がつく原因はなんでしょうか。

 

まず、算数の基本問題を早く正確に解けて、

ケアレスミスをしないという能力差が原因なことはほぼ確実で、

上でも書きましたが、

算数は1問の配点が高いので大きく差がついてしまいます。

 

ただ、この点は四谷大塚の偏差値で50未満のような、

基本問題を中心に出す学校ではだいたい当てはまるのですが、

 

この3年間、入試6回で、

毎回毎回算数で20点差、というのはかなりの差だと思います。

 

附属人気でチャレンジ受験生や押さえ受験生が増加し、

レベル差が広がっているのかもしれません。

 

なお、国語で全然差がついていない原因は、

知識問題の占める割合が極めて高いということが大きいでしょう。

独立した知識問題だけでなく、文章読解問題中の設問も含めれば、

おそらく50点近い点数が知識問題に割り振られていると思います。

 

その他の問題も平易ですし、

指示語の内容を書かれる問題などは一応ありますが、

まともな記述は全く出ません。

これでは差がつかないのも当然です。

 

以上、基本問題中心の学校については概ね当てはまる内容と、

国語で特殊な出題をする明大中野中の特性を

考えなければいけないケースかなと思います。

 

入試結果|明治大学付属中野中学・高等学校

 

 

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