中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

「合否は算数で決まる!」のか その2

 

waldstein1804.hatenablog.com

 

先ほどの記事では、

 

いかにも算数で決まりそうな開成中、

どの科目も比較的均等に難しそうな城北中、

どの科目も比較的平易な明大中野

 

について少しデータを見てみたところ、

 

「合格者平均点ー受験者平均点(以下、Aとする)のうち、

どの科目がどれだけの割合になっているか」に関して、

 

程度の差はありましたが、

いずれも算数の占める割合が高くなっているといえました。

 

さて、ここまでの学校は全て傾斜配点をしている学校でした。

中学受験ではそうした学校の方が圧倒的に多数派ですが、

 

ここで4科目均等配点(全て100点)で、かつ入試データを公開している

頌栄女子学院(四谷大塚、2021合不合偏差値、第一回61、第二回61)

について見てみることにします。

 

2020第一回 A=22.7 国語=4.3 算数=5.4 社会=6.7 理科=6.3

 

2020第二回 A=31.7 国語=5.1 算数=7.3 社会=10 理科=8.7

 

2019第一回 A=26.5 国語=4.6 算数=10.2 社会=4.9 理科=6.8

 

2019第二回 A=38.5 国語=6.8 算数=13.0 社会=9.0 理科=9.7

 

2018第一回 A=30.0 国語=4.9 算数=6.7 社会=7.9 理科=10.5

 

2018第二回 A=39.6 国語=7.7 算数=10.5 社会=10.6 理科=10.8

 

2017第一回 A=29.1 国語=5.8 算数=7.9 社会=6.7 理科=8.7

 

ご覧になってどうでしょうか。

算数の差はさほどではありませんし、国語の点差が一番少ないですね。

 

なぜこのような結果になったのでしょうか。

 

頌栄は各科目の問題が比較的難しめだということも大きいと思いますが、

先ほどの学校とは違う点がもう一つあります。

 

それは、頌栄が女子校だということです。

 

一般的に女子は国語が得意な上、

国語には知識問題など大きな差がつかない要素もあることも相まって、

合格者と受験者の平均点の差はかなり小さくなっています。

 

逆に、算数はどちらかといえば国語より苦手とする受験生が多いです。

 

 

以上、「合否は算数で決まる!」

と言ってもいい学校が結構多そうなこと、

 

また、その傾向が特に顕著ではないか、

という学校もあるということ、

 

一方、

「合否は算数では決まらない!」という学校もある、

ということもわかりました。

 

 

たた本当なら平均点ではなく中央値など

せめてもう少し信ぴょう性のあるデータを使いたいところですが、

 

そもそも平均点はおろか、

合格最低点すら公開していない中学校もありますので、

ここまでの内容も、あくまで参考に過ぎない、

と個人的には考えています。 

 

さらに言えば、そのように情報非公開の学校について、

大手塾の6年秋のテストデータを使って分析しているケースも見られますが、

個人的には、それではさらに信ぴょう性は薄れてしまうようにも思います。

(その学校の受験者全員が受けたテストではないですし、

 受験生は直前まで成長しますから)

 

 

昔このような質問をされたことがあります。

 

※「(とても信頼する)〇〇先生が

『合否は算数で決まる一方、国語の答えは文章に書いてある。

よって、算数をどんどんやるべきで国語をやる必要はない(要旨)』

と言っているがどう考えるか?」

 

というものでした。

「算数はできるが、国語記述はかなり苦手」という御三家志望の生徒さん

なのにも関わらず、このような問いかけをされたこと自体が驚きでした。

 

もちろん、

「国語は頑張っても全く見込みがないように思うので、

この際、算数に全振りしてワンチャンスにかけます」

 

という戦略だとすればそれ自体は否定しませんが。。

その後、どうなったのかはわかりません。

 

 

「合否は算数で決まります」といった言説は

色々なところで言われていますので、

 

(その結論自体を否定するわけではありません。

本人の状況や志望校も考えずに妄信するなと言っているだけです)

 

塾などから「とにかく算数を頑張るように」などと

言われることもあるかもしれません。

(逆に、国語の成績を上げるため、

漢字・知識の他にこういうこともどんどんやってください、

ということはあまり言われないと思います)

 

本来、受験での優先事項は

苦手科目を平均点くらいまで持っていくというのがセオリーのはず。

(苦手をカバーできるほど得意科目で稼ぐのはかなり大変)

 

もちろん、算数が一番苦手ならそれでいいです。

しかし・・・

 

一般的に言われている内容を鵜呑みにせず、

本人にとって必要な内容、取り組むべき課題とはなんなのか、

冷静に分析してもらえればと思っています。

 

 

国語に関して言えば、

自宅での読解演習はなかなか時間が取れなかったとしても

語彙を増やすなどしてできれば知識問題を9割、せめて8割、

テストで安定して取れる状態にしておいてもらえると

なんとかしなければならなくなった際も、

比較的スムーズに進むと思います。

 

あとは指導した内容を実践してもらえるかどうか。

 

「某大手塾で『素直な子は伸びます』と言われました

(が、うちの子は・・・)」

 

という保護者の方がいましたが、

これは国語が一番当てはまるのではないかな、

と勝手に思っています。

 

※なお余談ですが、

頌栄女子学院の公式HPでは2021年の結果が載っています。

 

国語と社会は難しかったみたいですね。

 

受験情報 一般生の方 | 受験生の方へ | 頌栄女子学院中学校・高等学校

 

合格者平均点もそうですが、

最高点が65、64点というのは驚いたので、

ひとまず社会を解いてみました。

 

確かに難しかったので、

理系が得意な女子には有利な入試だったのかな、

という気もしました。

 

数年前のいわゆる「開成ショック」ではないですが、

運が合否に影響してしまうのも入試の怖いところです。

 

waldstein1804.hatenablog.com