中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

受験生の目的

受験生の目的とはなんでしょうか。

これは当たり前ですが、志望校に合格することですよね。

 

それでは国語のテストを受ける目的はなんでしょう。

 

もちろん、

できるだけ(国語で稼ぐ人)、または必要最低限の点を取ることです。

文章を完璧に把握することではありません。

 

こんなことを言うと一部の先生には怒られるかもしれません。

「テクニックに走っている」「読解はそういうものではない」

 

いやいや待ってください。

なぜ二者択一なのでしょう。

 

仮に、同時並行でやって何か問題があるのでしょうか。

 

「そうした点を取る技術は後で身につければいい。まずはじっくり・・・」

 

 ではそうした技術をいつ身につければいいのでしょうか。

6年生になってから?秋以降?直前期?

 

そもそもそんな授業はどこで行われていますか?

6年以降に追加される土・日の特訓講座は

ただ色々な学校の過去問を解くだけではないですか?

 

 

例えば、

一つの選択肢が4行も5行もあるような、

難しいとされる記号問題を題材に考えてみます。

 

その中で有力な選択肢A・Bがあった場合、

AとBは「表現は変えているがほとんど同じ」という部分が大半を占めます。

まずはその視点が持てるかどうかです。

 

「大半が同じだから細かいところで変えてくるのではないか」

という意識です。常に使えるわけではありませんが、

記号の難問や、大問の最後の要旨問題などでは非常に有効です。

 

(別のテクニックとしては、

「選択肢ア・イは同じ内容である。

よって、これを選んでしまうとどちらを正解とすべきかの根拠がないので、

ウを正解とすべきである」

というアプローチも一応あったりしますので相反するようですが、

問題難度や、選択肢の長さによる使い分けとなります。

そのあたりはなかなか一概には言えません。)

 

そして、その中にほんの少しの「言い過ぎ」であったり

「ぴったりとは言えない気持ち言葉」であったり

「文章中の事実との齟齬」を巧みに配置してくるわけです。

 

このような問題を解く際に

果たして文章を理解するだけで十分対処できるでしょうか。

 

「いや、それは問題が難しいからであって、

全員が取り組む必要はない。」

 

確かに、フィーリングでほぼ解ける記号問題しか出さない学校

も一部にはあります。

そのような学校しか受けないのであればそれもよいかもしれません。

 

しかし、どこの塾のテストを見ても、

記号問題はある程度の検討が必要なようになっています。

特にS塾の記号問題は比較的低学年からその傾向が強いように思います。

 

これでサイドバーのプロフィールにも

「早めに解法手順を身につけ、

塾やテストでの問題演習を練習の場として効率的に使ってほしいと思っています。」

 

と書いている意味がご理解いただけるでしょうか。

 

テストではそういったスキルが必要な問題を出しておきながら

自塾の授業で解き方は教えず、別途習ってきた生徒には

「テクニック偏重」と批判的な見解を示す先生

(実際、某塾の先生に生徒を介して間接的に言われたことがあります)

というのはいったい何なのか?と思います。

 

以下、どうでもいい?余談としては

私立大学入試の現代文は記号問題ばかりですから、

この技術は必須レベルです。

(昨今のAO・指定校重視の流れで、

そのうち、一般入試が廃止されてしまった場合はこの限りではありません。)

 

また、そうした注意を払う意識を持っていれば、

言い過ぎ表現などに敏感になるので、

自分でも変な文章を書かないようになるのではないかと思っています。

特に示せる根拠があるというわけではありませんが・・・

 

 

また、どう文章読解の練習をしても、

理解するのが難しい文章というものは出てきてしまいます。

 

背景事情も、全てを教えつくすのはまず難しいです。

 

例えば、先日取り組んだ題材で、

 

「集団疎開している子供のもとを訪ねてくる父親」

が出てきました。

その父親は「自分は運良く許可を頂いて来ることができた」と言っています。

 

それ以外に特に説明はありません。

 

「これはどういう状況でしょうか?」

許可って?

 

また、

「父親はどのような気持ちでしょうか?」

 

多くの小学生には至難かと思われます。

 

この文章ではほぼ説明されていませんでしたが、

そもそも、集団疎開というものすら知らない人もいると思います。

 

しかし中には上記の全てを簡単に把握できる小学生もいます。

読書量、精神年齢、ご家庭で使われる語彙の広さ、

そうしたものによる埋めがたい差が

受験までに埋まることはまずありません。

 

そんな際、武器になるのは解き方の知識です。

 

 それで、

「文章をよく理解していなければどうしても解けない問題」

(多くの学校では意外と少ないです)

以外を正解し、及第点の点数さえ取れれば

大多数の受験生とはさほど差はつきません。

 

目的は制限時間内に点を取れる答案を作ること、

そのためには、

ある程度文章の内容がわかっていること、

設問の解き方がわかっていること、

その両方が必要です。

 

自分の経験からしても、

文章読解だけできても思ったような点が取れるとは限りません。

 

逆に、文章が難しいと思ってもあきらめないこと。

 

例えばやたら難しくて長い文章だけど、

設問は漢字だけ、だとしたら。

 

このように、

文章の内容と設問の難しさとは直接関係がありません。

この点は、同じ文章が複数の学校の入試で使われていることからも

わかると思います。

 

ただ、そういった難しめの文章を読むだけで疲弊してしまったり、

わかりにくい文章だと意欲を削がれる、ということが無いように、

ある程度文章を読み込んで精神力を鍛えておく必要はあるでしょう。

(人によっては不要な作業ですが、この点が6年生でも覚束ない人は、

 日曜特訓で他校の過去問漬けもよいのかなとは思います。)