中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

サピックス生の国語学習

 

この記事ではサピックス生がどのように国語を勉強していけばいいか

少し考えてみたいと思います。

 

題材がサピックスなのはなぜかというと、

御三家合格を至上命題としている(であろう)サピックスは、

国語教材がやや独特なものになっているからです。

 

まずはそのあたりの概要について。

 

サピックスの国語授業はA授業とB授業に分かれています。

通われている方には周知の事実ですが、

 

A授業のテキストは冒頭の語彙問題に加え、

記号中心に、バランスの取れた問題形式での読解演習(2問)、

あとは漢字や文法などです。

文章の内容もそれなりに歯ごたえがあるものも多く、

大半の学校で出題の中心となる、記号の練習にはもってこいだと思います。

 

一方B授業は記述中心で時々抜き出し、

たまに記号問題が混ざるという感じです。

文章がとても長く、問題も難しいです。

また、あくまで印象ですが、

他塾と比べ早い時期から複雑な(家庭の事情など)文章を出してきます。

サピ内でもメインの位置づけで、

実力のある先生がこちらの授業を担当することが多いようです。

 

サピが売りにしている有力な独自テキストですが、

一応、このテキストの問題点としては、

前の設問で答えたことをもう一度書かせるような問題が散見されます。

 

推測ですが、これは演習をたくさんこなすために

設問を無理やり増やしていることが原因ではないでしょうか。

 

ですから、一つの問題文での設問で「同じことは二回書かないよね」

と思って別の内容を書いて間違えたとしてもあまり気にしないことです。

 

 

その他、サピックスでは

国語の要 読解編その1(4年)、その2(5年)」

という副教材が4・5年のそれぞれ6月後半あたりに配られます。

記号、抜き出し、記述などが問題バランスよく入っており、

難易度もお手頃、文章がやや短いのだけが玉に瑕ですが、

逆に言えば気軽に取り組むことができます。

 

しかし、これまで見てきた限りでは、

正直多くのサピ生は他科目の学習に追われ、

あまり手がついていないと思います。

わりとお勧め教材なので演習に有効活用していきたいところです。

 

このあたりを踏まえて、

サピ生の国語学習についてレベル別に書いていきたいと思います。

 

1.男子御三家桜蔭など記述中心の難関校を狙う生徒。

サピはこうした学校向けにBテキストを作っていますので、

そちらをしっかりこなせばいいと思います。

授業で扱わない問題もすべて取り組むことが望ましく、

できれば誰かに添削してもらって

(生徒が答えを見ないで)書き直すところまでできれば理想的です。

国語が苦手で、自力でこなしていくのが大変なようなら、

個別や家庭教師の利用を考えるのもいいかもしれません。

 

他の問題形式は、基本的にA授業(上位クラスは文章題2問とも取り組むはず)

で問題をこなすだけでもある程度なんとかなります。

どうしても記号が苦手で安定しないような場合には、

記述同様、解き方を習うなど補強を考えるとよいでしょう。

 

2.記述はあまり出ない、又はそこそこ出る、という難関校志望者

記述の出題比率にもよりますが、

正直、Bテキスト全てとなると完全にオーバーワークですので、

そこまでやらなくてもいいと思います。

サピの授業内で頑張って取り組めば受験対策としては必要十分です。

 

それよりもAテキストを重視してください。

クラスによっては文章を2つとも取り組まない

(上位クラスでないと授業内で2つ解ききるのはなかなか難しいです)

ことがあります。

その場合、もう一題を毎週しっかりこなすようにしましょう。

 

Aテキストにも記述はありますからそちらで対策もできますし、

抜き出し問題の探し方、語彙力、記号問題の安定度がどうか。

特に記号のぶれが大きいようなら記述よりも死活問題になります。

正直言えば、Bテキストが宿題になっていても優先順位は低めです。

(同じ上位クラスでも、志望校によって優先順位は違います)

普段の読解演習としては、国語の要をやるのが良いと思います。

 

 

3.それ以下の学校の志望者 

下の方のクラスでは、

先生がかなりヒントを与えてBテキストを解かせていたりもするようです。

(Aテキストの記述でも同様のことがある模様)

そこまで誘導しないと解けない記述問題ということは、

本来、取り組むには不適切だということです。

 

記述の練習をするのであれば、

もっと難度の低い記述問題を題材にした方が効率がいいでしょう。

 

例えばサピ中堅クラスの子など、

「いや、Bの問題も自分である程度は取り組めるよ」

という人もいると思います。

それはもちろん結構なことですから、

2.の子同様に、B授業を記述対策として活用してください。

 

とにかく3.においても、

Aテキスト優先・国語の要優先という点は変わりません。

 

 サピックスにはクラス別のテキストはありませんから、

どのクラスでもBテキストを使った授業を受けることになり、

結果、非効率なケースも頻出することになります。

 

(余談ですが、そのわりにマンスリーなどは普通の出題形式です。

 記述ばかりにすると、採点が大変だからでしょうか。

 ただ2023年現在、記述の配点が以前よりやや上がっている気はします)

  

まとめると、

1.の子はB授業最優先、他は適宜補強

 

2.や3.の子は

 

・B授業にある程度ついて行ける場合

 そちらで記述対策を適度にやりつつ、

 Aテキスト読解や国語知識を優先する。

 毎週の学習も、Bの宿題より国語の要などを優先する。

 

・B授業に歯が立たない場合(かなりの誘導がないと問題が解けない場合)

 B授業は、担当の先生の工夫次第で、ある程度意義が見いだせれば通う。

 (国語だけに限ればいい状態ではないので転塾も有力。)

 Bテキストの宿題は完全に無視し、Aテキストや知識・漢字・語彙力を優先。

 国語の要は、長期休みにやれればいいほう。

 

※追記

6年生になると、Bテキストの末尾に客観問題メインの

「読解力チェック」が追加されますので、

2・3の人はそちらに取り組むのもいいと思います。

 

 (万一、Aテキストや国語の要に取り組むのも難しい場合は、

 サピというより集団塾の国語授業で

 現状から相対上位に浮上するのは難しいと思います。

 個別、家庭教師、親などと1:1で読解力を改善する必要があると言えます。)

 

最後に、これはどのレベルの子にも言える注意点ですが、

他塾では扱うが、サピではほとんど扱わない形式の問題があります。

文学史やツリー形式の段落分け、など(他にもあります)

を出す学校を受ける場合は

ここで差がつかないようにしておきましょう。

トップ校で出ない問題形式は軽視されているのかな、と感じます。

※追記

文学史は少なくとも6年夏休み用の教材には載っているようですね。

 サピックスのテストに全く出ないので

 まともにやっている人がどれくらいいるかはわかりません。)

 

以上、サピックスの批判めいた内容に思えるかもしれませんが、

そういうわけではなく、

まず純粋に、Bテキストの内容は一部の学校特化の

他の大手塾では導入されていないものなので注意が必要です。

 

また、サピックスは良いも悪いもそういう塾ですから、

その点を理解して、それぞれの事情に合わせ、うまく活用する必要があります。

当たり前ですが、御三家合格数(≠合格率)が多い塾が、

どんな子にとってもいい塾というわけではありません。