新聞記事のコラムから。
「3年前になくなった山田さんの息子・太郎さんは、(以下略)」
(文中、仮名)
この記事で、「3年前になくなった」のは誰でしょう。
1.山田さん
2.太郎さん
続きを読むと、
この記事で記者が書きたかった内容は
「なくなったのは太郎さん」ということのようです。
しかし、この文章では
「なくなったのは山田さん」と読むほうがむしろ自然でしょう。
実際、そういう前提で読み進めてしまいましたが、
あとで話が合わなくなり、やむなく読み直しました・・・
(新聞記事でもこういうことがたまにありますが、
これでお金を取るの?と思います)
ここには記述の参考になる点があると思い記事にしました。
まず、記述問題において主語が誰なのかは超重要事項ですので、
絶対に読み間違えられないように気を使う必要があります。
今回で言えば
「山田さんの息子は3年前に亡くなったが、~だった。」
「山田さんの息子は~だったが、3年前に亡くなった。」
という構成の方がわかりやすいので無難でしょう。
どうしても倒置法を使いたい(この記事の場合)とか、
文の流れがいいから、などの理由で、
同じ構成にしたいという場合、
「3年前になくなった『、』山田さんの息子・太郎さん」
と読点を入れなければいけません。
修飾語がたくさん続く文章を書くと、
この記事のような事態を招きがちですので、
記述ではあまり書かない方がいいのですが、
もしそうなってしまった場合、読点は非常に重要です。
危ない文章を渡りきる命綱です。
しかし、気にしていない中学受験生も正直多いですね。
文章を書くプロ?のはずの記者ですら
今回の記事のようなことがあるので、
やはり、基本的には「修飾語が延々続く文章にはしない」方が安全です。
(国語の模範解答はなぜか一文で延々書いているものが多いですが、
もっと短い文章で繋げても全く構いません)
読点の使い方で記述は0点にもなり、満点にもなりますので
普段から気を付けて欲しいと思います。
それからもう1点気になったのは
細かいところですが
この記事では「なくなった」という
ひらがな表記になっていますが、
読むほうからすればあまりいい表記とは思えません。
漢字が難しい(常用外、読者が読むのに苦労しそう)とか、
テストにおいて問題文の元表記が「なくなった」だったとか、
そういう場合は別ですが、
意味をはっきり伝えるには当然「亡くなった」と書くべきで、
読むほうも内容がすぐ頭に入ります。
(「5年前になくなった山奥ホテル従業員の佐藤さん」だとしたらどうでしょう。
ホテルがなくなったのか、佐藤さんがなくなったのか、わかりにくいですが、
「亡くなった」であれば読点がない不具合を事実上修正することができます)
この点、記述の解答を書くのを面倒がって、
簡単な漢字すらひらがなで書く小学生は結構多いですが、
(下手すると本当にひらがなばかりの解答になることがあります)
できるだけ早く改善した方がいいと思います。
入試の採点者は合格発表までの時間制限がある中で
大量の答案を採点していますので、一人の答案を何度も読み返し、
好意的な解釈をしてくれるほど暇ではありません。
普段から、できるだけわかりやすく、
読みやすい文章を書けるようにしましょう。