中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

文章は最後まで読むべきか

前回の記事で予告したように、

最初に文章を読む際、どういうやり方で読むかということです。

 

1.文章を最後まで読んでから設問に取り掛かる

2.文章を傍線①のところまで読み、そこで設問に取り掛かる

 (そして、傍線②のところまで読み・・・以下同じ)

3.文章は一切読まず、設問に目を向けて、

 どういうことを聞かれているのかだけ先に把握する

 (解くことはしない。その後、それを意識して文章を読む)

4.文章は一切読まず、いきなり設問を解き始める

  (読むのは、傍線部の近くが中心になる)

 

目にしたことがあるもので、

ざっとこれくらいの方法があると思います。

生徒が自主的にやっている場合もありますし、

指導者によって(またはブログなどで)提唱されている場合もあります。

 

結論から言えば、おススメなのは、当然1の読み方です。

 

2~4はおそらく

「長い文章だと最初の方の内容を読んでいるうちに忘れてしまう」

という、要点を把握する力がかなり弱い人のための読み方だといえます。

 

しかし特に2と4はいかにもテクニック的と言えますね。

なぜこんな読み方を留保

(上記のように、「長い文章だと内容を忘れてしまう人は使ってくださいなど」)

無しで推奨する人がいるのでしょうか。

 

それは、普通の問題の場合、

問1の答えは傍線①から傍線②の間に書いてあるからです。

特にひねってこない学校、易しい学校は律儀にその形式を守っています。

非常にわかりやすい。

(「普通の問題だったらそのはずだ」と

一応、頭に入れておくことは意義があります。)

 

そうであるならば、2のように設問と設問の間を

その都度ごとに読んで解き進めるやり方が十分成り立ちます。

また、4のように、設問を見てから傍線付近だけを眺めるという荒業ですら、

対応できてしまうかもしれません。

 

ところが、例えばサピックスのテキストを見てみましょう。

記述の気持ち言葉が遠くに書いてあったり、

(自力で適切なものを思いつければ一応何とかなるのだが、

 問題によっては難しいものも)

抜き出しや記号に関しても、

傍線部から結構遠くを読まないと解けないように設定してあります。

 

そして現実問題として、

そういう出題をする学校はそれなりの数存在しています。

そこで通用しない対症療法的な読み方をあえて用いる必要はありません。

 

また、これをやっている限り、

長い文章の要点を把握する力もあまりつきませんので、

受験後を考えてもあまりいい方法とは思えません。

 

しかし、以下のようにやむを得ない場合もあります。

 

・志望校の問題は傍線の近くだけ見れば解ける

・全体を読むとどうしても内容を忘れてしまう

・熟読の癖が抜けない、語彙を知らなすぎるなど、

 全体を読むとあまりに時間がかかりすぎる

 

6年生後半になって(生徒によってはもっと早くても)このような状況であれば、

最初に全文読まなくても、やりやすい読み方でやってもOK、

ということにしています。

 

さて、最初に戻って、

3.文章は一切読まず、設問に目を向けて、

  どういうことを聞かれているのかを先に把握する

 (その後、それを意識して文章を読む)

 

の読み方についてです。

この読み方も、結局は「後で設問を見ても内容を覚えていない」

ということへの対策だと思うのですが、

 

「離れた部分が答えだった時に出来ない」

という弊害がないので活用してもいいかもしれません。

 

ただ、当然ながら設問は複数あるので

注目しながら読むべき内容

(設問は全部先に読んだ。

「傍線④の時のおばあちゃんの気持ち」

「傍線⑦の時の主人公の気持ち」が記述問題だったからそこに注意しよう!と

同時にいくつも意識することになるのでは、ということ)が

場合によっては複数(特に、記述の多い学校など)出てきてしまい、

今度はそちらを覚えられない、という恐れはあるのかもしれませんが。

 

まとめると、

1の読み方が王道。

それで初読の際、要点が言えるように繰り返し練習する。

2と4は大きな弊害あり。やむを得ない場合に限った緊急手段。

3は弊害が少ないので、試したい人はお好みで。

 

ということになります。