森絵都「竜宮」『異国のおじさんを伴う』所収
「タウン誌の編集をしている主人公は老婦人の元へ取材に向かう。
入社三年目で仕事も軌道に乗ってきた。
今回もうまくまとめて一件落着、のはずだったのだが・・・」
麻布らしさ全開というわけではないですが、
この年もとてもいい文章を選んでいるなと思いました。
タイトルも当初は??ですが、読み終わってみると余韻が残ります。
大人ならどういうことが書かれているのか理解できるでしょうが、
受験生がこれに失敗するとほぼ終わりですね。
理解していれば設問はそんなに難しいわけではなかったかと思います。
問9
「登場人物が、何かを自分の境遇に重ね合わせて感情移入している」
ことを説明させるのは物語文定番ですね。
問10
なぜ「竜宮」というタイトルなのかを説明させるような問題です。
当然、比喩の言いかえをしなければなりません。
老婦人にとって嬉しいこととは具体的に何だったのかを考えます。
「亮くんに友達ができた」は傍線部に書いてあるので、
まあさすがに書いて欲しいところです。
「老婦人自身にとって嬉しかったこと」を
書けたかどうかで差がついたでしょう。
関連して、
前半に「(家族と離れて暮らす老婦人が)
久々に客を迎えるので張り切って掃除をした」
という描写がありますので、
「多分寂しい暮らしなんだろうな」と当たりを付けられると
全体的にも楽だったかと思います。
(本当にそうかどうかは、本文で確認しなければなりませんが)
問12
字数が長いので、かなり丁寧な説明を書くことができます。
「本当の孫のように思っていた」「生きがい」
などを入れてもいいように思います。
※余談
本文は思い込みで取材をした過去を深く後悔する記者の話ですが、
個人的には刑事司法について考えるところがありました。