中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

文章を読むのが遅い

 

waldstein1804.hatenablog.com

ブログ内貼り付け機能を初めて使いました。。

 

 テストの時間配分の記事で「あとで書く」と言っていた、

文章を読むのが遅い場合についてです。

 

時間内に終わらない原因として大きなものがこれです。

こういう子は

 

・読書はあまりしない

・語彙力が足りない(から読んでいて逐一ひっかかる)

・文章全体を均一に、一字一句ゆっくり読んでいる

 

印象があります。

全て問題なのですが、語彙力が足りない点は

言葉の問題集や現代文の用語集などをやってもらうしかないとして、

 

文章を均一に読む、というのは純粋に読み方の問題です。

 

例えば論説文の初読の際は、「テーマは何か」

(できれば、そのテーマについての筆者の意見も)

だけ掴めればいいので、細かい話を熟読する必要はないのです。

 

こうしたことは読書経験が多い人であれば自然とやっていますが、

身についていない人も多いです。

最後にも書きますが、そもそもそういう意識自体がないのです。 

 

そこで、そういう人にはあらかじめ

「何の話をしているか、テーマだけつかんでね」と言ってから

文章を読ませ、その後「テーマは何だった?」と聞いてみることにしています。

 

しかし難度の高い、抽象的な文章になるとなかなかそれすらも答えられません。

そういう場合どうしたらいいのか、という話です。

 

冒頭から文章を読むと、まず第一段落があるので、

この段落で筆者は何を言いたいのか把握します。

さすがに第一段落なので、問題提起だけだったりと易しいはずですが、

念のため要約の練習をしてもいいです。

 

そうしたら、第一段落の話題が続いている範囲は流し読みをして大丈夫です。

一字一句頭に入れよう、かみ砕こう、という読み方は必要ありません。

そして、話題が変わる部分が来たら、

そこはじっくり読むというメリハリをつけてください。

 

「話題が変わるところ」といわれても、どこかわからないかもしれません。

その見分け方として「小見出しがつけられそうなところ」だと

おおまかに考えてください。

(意味段落と考えても大差はありませんが

小見出しのほうがイメージしやすいかなと思いました)

まず、それくらいの意識で十分です。

 

簡単な例をあげますと、

「果物は体にいい食材だ」という文だとしましょう。

(内容の真偽はおいておきます)

 

第一段落の要旨は問題提起で「果物は体にいい」です。

次に、第二~第四段落では「バナナは体にいい」

ということが書いてありました。

 

第二 例えば、バナナは体にいい。

   なぜなら、バナナは〇〇を含んでいて、これがどう作用して体にいい~云々

第三 実際、△△大学の陸上部の食事に取り入れたところ、

   ~週間でタイムがっ向上したのだ云々

第四 海外でも~云々

 

はい。この文章、第二段落の最初の一行以降、

ずっと同じ話題について書いていますね。

そういうところはざっと読むか、初回は読まなくてもいいということです。

(設問になっていて細かい内容が聞かれていたら、後でゆっくり読みます。)

 

まずはそんなところをしっかり読むよりも、

第五~第七段落の「リンゴも体にいい」と、

話が変わったところの冒頭をじっくり読むようにします。

例になったらまた読み流してください。

 

ここまで、初読で認識するべき内容は

「果物は体にいいということが言いたい文章だ」

「例としてバナナが出てきた」「リンゴも出てきた」

ということです。

この文章は易しすぎて、

要旨を答えるのに例の部分は必要ないかもしれませんが、

後々の設問で聞かれたとき、

全体の位置づけ(構造)を意識できていると効率がいいので

できれば押さえておきます。

 

小見出しがつけられそうな部分には線を引いて前後を分けておきます。

それを最後まで続けていけば、要旨を掴むことができます。

 

最悪、小見出しをつけた形式段落だけをつなげ読みしてもいいかもしれません。

さすがにここまで行くとかなり雑なのでおススメはしませんが、

(でも時間配分を大失敗した際の緊急避難には使えるかも)

指導の際には似たようなことを時々やっています。

 

※生徒が解いてきた初見の文章を解説することもよくありますが、

小学生向けの文章であればまだしも、

センター試験など大学受験の現代文の場合

しっかり読んでいると5分くらいかかってしまい

その間生徒は手持無沙汰、時間がもったいないです。

そうした場合、上記のような読み方をして

30秒~1分程度でとりあえず解説可能な状態にもっていきます。

 

もちろん、すべての設問を正解するにはこれでは不十分ですが、

初読で要旨をつかむには十分なレベルです。

あとは設問を解く際に必要な部分を熟読し、内容を肉付けしていきます。

 

以前指導していた子に「どうやってそんなに早く読んでいるんですか?」

と聞かれて自分の読み方を意識したことがあり、自覚しました。

 

もちろん、ここまで早く読む必要はありませんが、

「じっくり読む部分と、そうでない部分がある」ということを

まず意識することが第一歩です。

 

メリハリが大切といったようなことを

書いている先生は結構いる気がしますが、

上記の内容は結構オリジナルだと思って(出し渋って 笑)

書かないでいたのですが、どうでしょう。

 

とはいえ「(流し読みでいい部分を)そううまく判断できない」

ともよく言われるので、わりとすごいのでは、

と勝手に思っているだけであまり価値はないのかもしれません。

 

次回は

 

・初読の際に最後まで読むべきなのか

小見出しがつけられる部分を意識しろと言っても、

 それはそこまで読んだ後に初めてつけられるわけだから、

 効率的な読み方にはつながらないのではないか、

 といったあたりについて書こうかと思います。

 

 前者は人によっていろいろ言われていることで、

 国語ではよくあるテーマですが、

 後者は今回の記事の補足でたぶんオリジナルな気がします。