続きです。
大問2は世界地理。
世界地理は歴史と並び、好き嫌いがわりとはっきりした単元かと思います。
(日本地理は身近だからか、嫌いな人は少なめ、
公民はあまり好きな人はいない、という印象)
平成31年度都立高等学校入学者選抜 学力検査問題及び正答表|東京都教育委員会ホームページ
(今更ですみません。②のページにも追記予定)
2019では問1で時差の問題が出されています。
少しひねった問題とは言えますが、時差は時々出ますね。
基本中の基本ですが、たまにできない子もいます。
一応ポイントとしては、
問題文では必ず「6月1日の午後〇時」という形式で聞かれているので、
勝手に24時間表記に直してしまいましょう。
午後5時→17時です。
さらに、例えば
「6月1日17時から13時間後」という場合、
いきなり「6月2日の・・・」と考えるのではなく、
「6月1日30(17+13)時」だから
(30-24で)「6月2日の午前6時」
と深夜番組の時間表示のように直してから計算しましょう。
これでつまらない計算ミスはなくなるはずです。
続いて世界地理でとにかくよく出る出題形式は
①世界地図上にX~Zの国を示し、それぞれその国を説明した文章を選ばせる
(2019 問2)
②東南アジアの地図を用いて①と同様の作業をさせる
(2019 問3)
です。
この二つはほとんど固定問題に近いので、
絶対に疎かにしないように。(特に①)
①対策としては、主要国の特徴を頭に入れるしかないです。
ばらばらに覚えると挫折するので、
地域ごとに整理してインプットしていきましょう。
ヨーロッパで農業国はフランス、工業国はドイツ、
金融はイギリス、ファッションはイタリアという感じです。
そしてオランダは低地、スイスは多言語など、
知らない情報を少しずつ足していきましょう。
最初は、気候・地形・特産品・宗教(これは特徴的な国のみ)だけ覚えればいいです。
正直、首都の名前や産業の細かい内容は後回しでもいいでしょう。
「この国と言えば何?」という情報を
主要国につきいくつかインプットしてから、
オーストラリアの鉄鉱石の産地は地図のどのあたりか、
などを押さえてください。
そして過去問を解く際、
説明文に書いてある内容を全部押さえておけば完璧ですが、
さすがにそこまでは無理だという人(ほとんだと思います)は
その国だと判断できる情報を2つは持てるようにしましょう。
説明文に自分の知っている要素が必ず書かれるとは限らないからです。
オランダなら低地ではなく、チューリップかもしれません。
イギリスは金融ではなく北海油田かもしれません。
では2019の問2を一応見ていきましょう。
まずX~Zの国は、
ペルー・サウジアラビア・ノルウェー・モロッコの順となっています。
説明文のテーマは魚介類ですが、
魚介類ということで読まなくても
ペルー→アンチョビー(イワシ)
ノルウェー→サーモン、サバ他
モロッコ→タコ
とわかるようであれば楽勝問題ですね。
タコについては同じ西アフリカのモーリタニアを例にして近年問われています。
その際は少しかわいそうかなと思いましたが、
もはやこの範囲まで基礎知識、と言えるでしょう。
スーパーで買い物をする機会があれば、
産地に気を付けるようにすると勉強量を減らせます。
説明文(一部)
ア 首都は内陸部に位置しており、淡水が流れ込みにくいため
塩分濃度が高くなっている海水を活用して、
日本に輸出されるえびが養殖されている。
これは難しいですね。
エビと言えば普通はインドネシアなど
東南アジアでのマングローブの消失と絡めて習うからです。
後回しにすることを推奨しますが、勘のいい人は
「淡水が流れ込みにくい」で「砂漠かな?」とわかるかもしれませんが
普通は無理でしょう。
ただ、資料には実は漁獲量のデータも載っています。
この国だけダントツで漁獲量が少なく7万トンしかありません。
ここが大きなヒントですね。
イ 首都は国土を東西方向に走る山脈の北側に位置しており、
日本に輸出されるたこの漁場周辺では、北から南へ寒流が流れ、
たこ壺漁などの漁法が用いられている。
山脈はアトラス山脈ですが、中学生には酷かもしれません。
世界文学全集などでギリシャ神話を読んだことがあれば
覚えているかもしれませんが、まあ無理だと思います。
ということで、この文章もたこで判別できなければ消去法となってしまいます。
ウ 首都は冬季においても凍らない湾の奥に位置しており、
日本に輸出されるさばの漁場周辺では、南から北へ暖流が流れ、
まき網漁などの漁法が用いられている。
「冬季においても凍らない」→かなり北の国、ということでこれは簡単ですね。
「南から北へ暖流が流れ」ているのはヨーロッパの特徴で、基本です。
さばを知らなかったとしても、2つも易しいヒントがありました。
エ 首都は乾燥帯に位置しており、日本に輸出される魚粉の原料となる
かたくちいわしの漁場周辺では南から北へ寒流が流れ(以下略)
かたくちいわしを日常的に食べる文化は見られないが、
山岳地域に居住する国民のたん白質摂取不足を解消するため(以下略)
ウよりは難しいかもしれませんね。
ただ、中学校の地理で「山岳地域に居住する民族」とくれば
アルパカの顔が浮かんでくるのではないでしょうか。
(資料や写真は大事)
あとはかたくちいわしで当てるしかないでしょう。
南米沿岸の海流や、乾燥帯という点は高校地理でなければ厳しいと思います。
魚を知らなくても一応なんとかなるが、
普段から食材の産地を意識しておけよ!というメッセージを感じる問題でした。
続いて2019問3です。
正直、東南アジアは多くの都立受験生が苦手にしています。
受験直前になっても、国の位置すら全然わかっていない人も珍しくありません。
なので何度も何度も聞いてくるわけです。
白地図を見た際、絶対に国名は入れられるようにしておきましょう。
わかっていながら点を落としてはもったいないですね。
それ以外の勉強法は国別の特徴を覚えていくという点で同じです。
さてこの問題は地図が2つ載せてあり、
「日本の貿易輸出額から輸入額を差し引いた額(貿易黒字)で色分け」
「日本の輸入額がもっとも多い品目で色分け」
となっています。
その下に説明文がありごちゃごちゃ書いてあります。
社会の問題はこのようにやたら長いことも多いです。
こういった情報処理能力も多少は見ているのでしょうね。
貿易についての地図が与えられているので
解くのに必要だと思うのが普通ですが、
説明文でそこに触れているのは後半です。
前半は飛ばして進むのも手です。
(ただし、後で述べるように重要情報が書かれてはいますが)
ちなみにやることは説明文に合う国の名前をア~エから選ぶだけです。
そして地図と関連する部分の記述は
「2016年における日本の最大の輸入品は衣類」
そしてもう一つ
「日本からこの国への輸出額は333億円、
日本のこの国からの輸入額は1310億円であった(つまり大赤字)」
下の記事では、
「ミャンマーとカンボジアの位置を聞いてきてそれなりに難しい」
と書いてしまいましたが、もう少し絞れるヒントがありました・・・
どっちにしろ、地図を見てこの国はどこ、
ということがわからないとできませんが。
ちなみにこの問題を一発で解く方法は、上の記事でも触れた
アンコール=ワットですね。
その一言を見抜ければ資料を読む必要もないですし、
時間を短縮できます。
この問題は国の場所ではなく名前を選ばせる形式なので、
なんと、どこにあるかわかっていなくてもできました。
他にも「内戦が1990年代に終結した」でも一応一発で分かります。
常識と言いたいですが、これはちょっと無理かな。
このあたりがフランスの植民地だったということも常識ではありますが、
ベトナム等も該当するため、ここから一発ではわかりません。
ともかく、純粋な勉強だけにとどまらないのが社会の特色ですから、
世の中に興味があれば、
出題側の意図を無視して瞬殺で終わらせることもできます。
そういう問題を少し作って「省エネ」できるようになると
色々楽になるので、できれば目指したいところと言えます。