中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

都立高入試・社会④

大問3は日本地理です。

 

これまで長い間、各県についての説明文を読ませ、

「地図で示されている県にあてはまるものを選べ」

という形式が良く出ていました。

 

近年少し変化があり、

県ではなく市の説明文などが出題されるようになりました。

大差はないのですが、少し難しくなったと言えるかもしれません。

 

※追記

県を出す問題は相当前から続いていて、

以前、広島県と福岡県を選ばせる問題でてこずったことがありました。

ヒントは自動車工場で福岡県が正解なのですが、

「広島にもマツダがある」と考えて悩んでしまいました。

この問題は今でもどうやって肢を確定させるのか、自信がありません。

 

また、「この県の南東部にはリアス式海岸があり」という表記に

少し動揺したことがありました。

正答は大分県で、確かにリアス式海岸があります。

リアス式海岸と言えば三陸三重県福井県あたりが

出題の定番なので意表を突かれました。

問題としては他の要素でわかるのですが、時々こういうこともあります。

他の要素で解けることも多いので、動揺しないようにしましょう。

 

※追記終わり

 

さて、2019の問1は島について。

(過去記事に問題へのリンクがありますので必要なら見てください。)

 

示されているのは利尻島佐渡島・淡路島・種子島ですが、

これらはかなりメジャーな島ですから基本的な問題と言えるでしょう。

 

佐渡金山、種子島は宇宙がわかれば

あとは人口でも分かるようになっています。

 

淡路島は玉ねぎに触れてくれた方がより親切かもしれませんし、

また利尻島の「火山・うに」については、旅行が好きな人には常識でしょう。

 

世界地理でもそうですが、

社会は興味がそのまま点に結び付きやすい科目ですね。

 

また、統計を読み取る問題が出ることもあります。

 

2019の問2は

東京・石川・愛知・京都の4県のデータとして

製造業全体と繊維産業のそれぞれ事業所数・従業員数が載ってる統計と、

説明文を見て判断する問題です。

 

説明文のほうに西陣織という単語がありますので

京都を選べることは当然として、

問題は統計の読み取りです。

 

まず純粋な記載として「繊維工業事業所で働く人数は10人以下」

という記載で2択までは絞ることができます。

あとは常識的な推測ですね。

製造品出荷額の規模からして残り2つは東京と京都です。

単純に全体の工業規模が少ない方にしておけば間違いないですし、繊維産業の比率が高い方にしてもいいです。

 

まあこの辺も普通はできると思いますのでそう恐れることはありません。

統計問題の処理については慣れも重要ですから練習しておきましょう。

 

例えば、

一見「人口密度を全て計算しなければできないように見える問題」などでも、

「別の角度から見れば遥かに楽にできる」ようなものも多いです。

時間を省略してその分記述問題などに充てることができます。

 

2019問3は地形図を利用した記述問題です。

地形図は大問1で出ることが多いですが、ここでも出ましたね。

ただし記述問題なので大した知識は不要です。

 

都立の記述問題は資料を見て

内容を純粋に忠実に読み取ったことだけそのまま

書けばいい問題です。知識はほぼ不要です。

 

ただし他の科目でもそうですが、設問の指示には注意しましょう。

 

2019の問題を見ると、

立地土地利用に着目せよ」と言っていますので、

そこを書かなければ点をあげないよと言っています。

 

つい「出来た!」と思って片手落ちにならないように。

 

この問題は土地利用のほうが簡単だと思います。

工場の地図記号さえわかっていれば、

工場(及び厚生施設、駐車場)が高層建築に変わっていることはわかるはずです。

 

人口の変化の資料もついていますから、

まあどう見てもマンションだということはわかるでしょう。

工場や厚生施設、駐車場が高層マンションに変わった

ということに加え、

(さすがに、「高層」は入れなくても減点ではないかもしれませんが、

資料に階数の記載がある以上、もはや油断はできません。

できれば入れておきましょう。)

 

丁寧に「人口が増えた」ということも書いてあげてください。

載せられている資料には一言以上触れることも大切です。

 

上で書きましたね。

資料の内容を純粋に忠実に読み取ったことだけそのまま

書ける人を求めているのです。

特に思考力は求められていない問題です。

 

こんなの見ればわかるじゃないか、

と記載が横着になりがちな人もいるとは思いますが、

とにかく丁寧に情報を書くようにしてください。

ちなみに上ではさりげなく書いていますが、

工場だけではなく厚生施設・駐車場も書いた方が無難です。

 

以下少しくどいかもしれませんが、

完全な付随施設であればわざわざ書かなくても許されることがあるはずです。

例えばディズニーランドや成田空港、原子力発電所にも駐車場はあるでしょうが、

そうしたものを答案にいちいち書きませんよね。

 

ここで、地図にある厚生施設というのが、工場の敷地内にあるものなのか、

または「一応工場の敷地内とは言えないが会社の系列厚生施設」なのか、

それとも何ら関係ないものなのかはわかりませんが、

これだけ広い駐車場は通常厚生施設(または工場)の付随施設と言えるのではないか

であれば、書いてもいいですが、特にあえて書く必要はないはずです。

 

しかし、発表されている解答例(細かい情報もかなり書いています)や

採点のポイントを見る限り

東京都教育委員会にそういう発想はあまりないと思います。

 

「いや、駐車場は工場の近く、厚生施設の隣にあるけれども、

それらとは何ら関係ないものなのだ。

資料では少なくともその可能性は残っている。

だから列挙しなければ減点である。」

などと考えているかもしれません。

 

・工場と厚生施設だけ書いて駐車場を書かなかったら減点なのか?

・「工場など」としたら減点か?

 

誰がどのように採点しているかはわかりません。

 

重箱の隅をつつかれて減点されないように、

とにかく丁寧に情報を書くようにしてください。(繰り返し)

 

さて、土地利用は終わりました。

あとは立地に触れましょう。

 

これはまあ鉄道と駅が地図から読み取れれば書けます。

この地区のすぐそばには鉄道駅があります。

マンションが増えたことに結び付けてください。

 

さらに言えば、複数路線が乗り入れていることに気づければ完璧です。

「駅が近い」という利便性を強調するために情報を使い切ってください。

 

個人的には、この点に触れることができなくても満点の可能性はあるのでは?

と勝手に思っていますが、

(工場→マンションで2点、駅に近い→便利で2点、

 人口増加で1点というのが個人的な採点のイメージ。

 推定、そう厳しい採点はしていないと思うのですが)

 

一応複数路線も採点ポイントでは触れられているのでどうなるかは不明です。

 

万一の間違いを防ぐには、

とにかく丁寧に情報を書くようにしてください。(再度繰り返し)

 

このように、

点数狙いを意識すると細かい情報を拾うことが大切になり、

正直あまり面白くないのが都立社会記述の特徴ですが

特に上位校狙いの人は、解答欄も広いので、

わかることを全て書いて埋め尽くすような気持ちでいきましょう。

 

そのために、

基本問題はすぐ片付けられるようにしておき、時間を節約してください。

 

思考力を重視する教育改革をする、と打ち出すのであれば、

せっかく記述問題を課しているにあまり思考力が必要ない、

という点には再考の余地があるのでは

と思わないでもないですが、共通テストではこれくらいが限界かもしれません。

 

現在、都立入試には開示制度がありますので、

合格者でも自分の答案を手に入れることができます。

兄姉・先輩などが近くにいれば、

採点基準はそちらを参考にするとよいと思います。