中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

読書で国語の成績は上がらないのか?

巷では

 

・「読書で国語の成績は上がらない」

 

・国語対策として「本を読んでください」

 という塾や家庭教師はろくでもない

 

などと言われたりもします。

 

一方、一部の子育て本や、

国語が苦手なお子さんを持つ親御さんの悩みとして

 

「読み聞かせが大事」

「うちの子は本を読まないから国語ができない」

といった言説も結構目にします。

 

一体どうすればいいのでしょうか。

 

 

まず、本を読むとどういうプラスがあるのかについては

以下の記事でも書きました。

 

waldstein1804.hatenablog.com

 

理想的には、自分が興味を持つ範囲外の本まで手が出せるといいですね。

(そうすれば、自分と違う境遇の主人公、時代背景などに触れられるので、

客観的な視点を身に着けられる)

 

ただ、なかなかそうもいかないでしょうから、

少しずつ読む本の範囲を広げていく程度でも十分です。

 

本人が選んでくればこちらも理想的ですが、

それはよほどの本好きの子だけだと思うので、

できたら親の方で用意する本を工夫してあげてください。

 

その際、語彙が増えるような内容だとさらに理想的です。

(中学受験だけではなく教養としても役に立ちます。

ただ身につく語彙量は、

普段親が使っている語彙の数ともかなり関係してきますので、

そちらも大事ではあるのですが。)

 

 

さて、冒頭の内容に戻ると、

 

読書で身につく能力(自分と違う人物への理解、語彙力)は

算数で言えば計算力のようなものです。

 

計算練習だけしても算数の成績が上がらないのは自明の理ですが、

計算力が全くなければ算数の成績が上がることはないでしょう。

 

ですので、一般論として

「幼少時から読書が好きな子の国語の成績は上がりやすい」

ということになります。

 

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※もちろん、どういう本を読んでいるかも重要です。

 

会話文ばかりのライトノベルよりは、

(実際に可能かはともかくとして)

例えば「坊ちゃん」とか「伊豆の踊子」とか

そのくらいのものを読めている人の方が

語彙力も心情理解力も高いと思われます。

 

もう少し現実的なところで言えば、

例えばですが、宮沢賢治あたりなどもよいのではないでしょうか。

 

中学入試でも結構出題されますし、

時代背景の違い、独特の世界観、独自の擬音語など、

人によってはかなり苦手にしています。

 

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では、それにも関わらず、なぜ

 

・「読書で国語の成績は上がらない」

 

・国語対策として「本を読んでください」

 という塾や家庭教師はろくでもない

 

ということになるのでしょうか。

 

単純な理由としては、

 

読書は計算練習よりも時間がかかるため、

急場での改善は現実的ではないということです。

 

ではどうするのか。

 

もし5年生後半や6年生で、

 

自分の第一志望校の標準的な受験生よりも、

明らかに国語ができない、ということが分かった場合、

 

まず、語彙が足りなければ特訓するように勧められるはずです。

具体的には語彙の問題集ということになるでしょう。

 

この点、語彙というのはあえて勉強せずとも、

日常生活の中で身に着けることもできます。

 

それが読書であり、親の会話であり、

小学生新聞やニュースであるわけです。

 

逆に言えば、日常の影響も大きいため、

親の方にも「特訓をしなければ」

という意識が比較的薄いことが多いです。

 

「うちの子はあまり本読まないなー」

くらいに思って過ごしてきたところ、

 

いつの間にか、

そうした「勉強しなくても身につく語彙のレベル」で

ライバルに劣ってしまうケースが多いです。

(特に上位校ですね)

 

 

一方、他人の心情に興味がない、理解できない、

という人については、集団塾などは基本的に放置です。

 

他人の心情(女子グループだけでなく、離婚する親の心情など)、

背景事情(戦争、各時代の風俗・常識、キリスト教など外国文化)

 

などについては、

ある意味、幅広い「常識」と言える内容のため、

塾としても簡単には対処の方法がないのです。

 

一応、テキストに出てくる戦争の話とか、女子のグループ話とか、

そういうのが出てきたときにある程度理解してね、

という程度になります。

 

今、「集団塾は」と書きましたが、

これは誰にとっても一筋縄ではいかないでしょう。

 

対策をするのであれば

そうした文章に触れさせていくしかありませんが、

塾の課題等にプラスして取り組んでいくのは

例え問題を解かずに読むだけだとしても簡単ではないと思います。

 

(塾の授業時間はともかく、

国語の家庭学習時間は本当に少ないです。

4科目の中で最下位というご家庭もかなり多い、

いや、大半なのではないかと思いますから)

 

 

結論として、

 

確かに、高学年になってから読書を多少したからと言って

国語の成績を大きく上げることは期待できません。

 

読書の蓄積という観点では、

人によってはこれまでの間に膨大な時間差がついていますので、

その差は高学年になってからの

時間を見つけて、というような読書では現実的には埋めきれません。

 

よって、高学年でそのような状況の場合、

多くは語彙問題集などで補強し、

及第点を目指すというのが手っ取り早い対症療法ということになります。

(もちろん、国語に時間が取れるのであれば

読み方や時間配分なども含めてもう少し何とかしたいところですし、

問題の解き方によってさらに差を詰める、

又は逆転する可能性はあるのですが、それはまた別の話)

 

しかし、幼少期からの読書は国語の成績を左右する

かなり大きな要因と言ってもいいと思います。

 

自分のことで恐縮ですが、僕は中学受験の際、

国語の勉強は漢字くらいで、普段は塾にも行っておらず(季節講習だけ)、

ほとんど何もしていませんでした。

 

しかし、相性のいい文章が出たときは

全国1位を取れるような力があったわけです。

 

読書で身につく語彙力、

心情や状況の理解力などについては

知らないうちに全国トップクラスになっていたのです。

(問題を解く力については我流だったので、

よく腑に落ちない減点をされていましたが)

 

ということで、

「読書で国語の成績が上がらない」というのは

間違っているとは言いませんが、

かなり近視眼的な見方で見た結論ではあるのかな、

と思っています。

 

 

ですので、色々と本人の興味の問題もあると思いますが、

それにめげず(笑)

 

ぜひ、幼少期から少しでも広い世界に触れさせてあげると、

中学入試に有利になるということはともかくとして、

人生が豊かになると思います。

 

※以下は余談ですが、

 

waldstein1804.hatenablog.com

 

という記事を書いたことがありました。

 

自分は国語で圧倒的に稼いで受かっていることもあり、

 

本音としては、

 

「『算数で決まる』かどうかは本人の状況によるだろう」

(当たり前の結論すぎて面白くないですけれど)と思っているのですが、

算数で決まるという点に頷ける要素も確かにあります。

 

それは上記記事で言及している

(というか巷でわりと幅を利かせているように思われる)

「合格者平均点と受験者平均点の差」という表面的なものではなく

もう少し実践的な部分になります。

 

最近ブログを更新する余裕があまりありませんが、

そのうちまた触れてみたいと考えています。