中学受験家庭教師の国語メインブログ

23区西部在住の家庭教師が日々思うことを書いていきます。

合格者平均点25.3点の衝撃 その6(2011年 暁星中 算数)

長くかかってしまいましたが、ようやく最終回です。

 

大問5

 

「カードを何枚か用意し積み重ねます。

次の約束のもとで二人が交互にカードを取っていき、勝敗を決定します。

1.1回に2枚以上5枚以下のカードを取る。

2.一番下のカードを取った人を負けとする。

3.2枚以上カードがあるときは

  必ず1の約束通りにカードを取らなければならない。

4.1枚だけカードが残った場合には次にカードを取る人を負けとする。

 

このとき、次の各問いに答えなさい。

 

(1)カードが全部で8枚のとき、先手、後手どちらかが

  カードをうまく取ると必ず勝つ方法があります。

  先手、後手どちらが勝ちますか。その理由も書きなさい。

 

(2)カードが全部で54枚のとき、先手がカードをうまく取ると

   必ず勝つ方法があります。その方法を書きなさい。    」

 

 

この形式の問題は

どこかで見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 

この年の暁星中の問題では、

大問2と並んで、特別なひねりはない気がしますので、

(1)はどうしても取りたい問題ですね。

 

(1)はカードが8枚なので、当てはめていけば出せると思います。

おそらく普通の受験生はそれで解けたと思いますし、

(2)の誘導としてもそれで十分です。

 

先手が2枚取ったとき→後手は4枚・5枚のいずれかを取れば勝ち

3枚のとき→後手は3枚・4枚のいずれかを取れば勝ち

4枚のとき→後手は2枚・3枚のいずれかを取れば勝ち

5枚のとき→後手は2枚取れば勝ち

 

いずれも後手が最善を尽くすと勝つことはできません。

よって後手必勝ということになります。

 

(2)(1)より、

カード8枚の場合は後手必勝ということが分かりました。

 

そこから、8枚残して相手に回せば勝ち→そのためには・・・

という考え方で進めていってもいいのですが、

(某社の過去問集の解説はそのように解説しています)

 

その場合、(1)の8枚の場合に加えて

実は「9枚残った時も後手が勝つ」という条件を

見落とさないようにしなければなりません。

 

9の場合でも後手勝ちを確認→15,16では後手勝ちを確認

→7の倍数+1又は+2だと後手勝ちを確認

 

以下、下の解き方の場合と考え方は同じ

 

 

しかし、果たしてそこに気づくことができるかというと、

個人的には結構危ないように思います。

 

9についても試しにやってみれば

すぐわかることはわかるのですが、

 

(1)が解けた時点で「後手が勝つ条件は既に網羅した」

と受験生が考え、

他にも後手が勝つ条件があるのではないかという発想に至らず、

「じゃあ次に後手が勝つのは15か」という

思考になって、試してみて合わないので混乱したり、

正しい条件を見つけ出せ無くなっても、不思議ではないと思います。

 

そこで、

 

(2)では先手が勝つ方法を考えろということなので、

カード8枚の場合は後手勝ちだが、

カード3~7枚の場合は先手勝ち」というように

考え方を設問に合わせたほうがわかりやすいのではないか

と個人的には思います。

 

次に、相手→自分という、1ターン?に減る枚数として

相手の取り方に関わらず調節可能なのは7枚ですので

(相手2枚→自分5枚、相手3枚→自分4枚など)

 

3~7枚で先手勝ち→10~14枚で先手勝ちということもわかります。

以下同様に、17~21枚・・・となっていきますが、

最後が7の倍数なので、45~49枚で自分の番が来れば先手勝ちとなり、

そのためには、最大で45枚までしか減らせない50枚か、

どうやっても49枚以上は残せない、

51枚で相手に回せば勝てるということがわかります。

 

よって、54枚から、3枚または4枚を取り、

その後は相手と自分の取る枚数の合計が7枚になるように取っていけば、

必ず先手が勝つことができます。

 

ただ、正確には、毎回合わせて7枚でなくても、

相手の番のときに7の倍数+1又は+2枚のカードが残っている状態を目指して

取っていけば勝つことができます。

 

この点某社の解説は

「先手はまず54枚から4枚取って、

その後は後手と合わせて毎回7枚になるように取っていけばいいが、

最後だけは後手と合わせて6枚になるように取ってもいい」

 

旨解説していますが、

最初に先手が取る枚数は3枚でもいい

・後手と合わせた取る枚数を6枚にすることは最後でなく途中でも可

 

という点において、やや不正確なのではないかと、

今考えて思いました。

 

以上、何かありましたらご教示いただけますと幸いです。

 

全体的にはどうでしたでしょうか。

 

大問1 普通の速さの問題かと思いきやグラフに罠あり。

    問題文も親切ではないので、気づかないと延々とはまる恐れ。

 

大問2 N進法。抜けた数字をずらすという、

    やや応用的な手法さえわかっていれば多分何とかなる。

   

大問3 売買損益の問題だが、

   「運送費」という見慣れない概念が混乱を誘う。

    混乱せずに最初の比例式を立式できるかが勝負。

    無理なら延々やっても解けない。

 

大問4 どういう仕組みか理解できなければ0点濃厚。

    そういう人も多かったと思われる。

    演習量に左右されやすい平面図形の中でも象徴的な問題。

 

 大問5 (1)は少し調べるだけでひねりもなく、

     絶対に取らなければならない。

    (2)は他の詰まった問題等で時間を無為に費やさず、

     ここに投入できていれば解くことも可能。

     少なくとも部分点は狙えるはず。

 

この年の問題について

「御三家以上ではないか」という感想も目にしたことがありますが、

少なくとも比肩しうる難易度だったのではないかと感じました。 

 

受験生は動揺したでしょうが、

「周りもできないはず」と考えて、

取れそうな問題を焦らず着実に取れれば合格できたと思います。

そうした力も身に着けられるといいですね。 

 

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