以下の記事を興味深く読みました。
男女別定員が東京都だけだという点には驚きましたが、
改めて「高校入試は選択肢が少ない」ということが言えます。
昨今の流れとして、
高校入学者とのレベル差があまりに大きいことから、
私立、公立ともに完全中高一貫化する学校が増えていますしね。
高校入試は、
特に、相対的にいい内申を取れそうもない上位生にとっては、
どんどん狭き門になってきていると思います。
ところで、中学入試にも男女別定員を設けている学校はあります。
四谷大塚2021結果偏差値で見てみると
早稲田実業 合格最低点
2021 2020
男子:63 (定員85) 203 194
女子:68 (定員40) 208 214
慶應中等部 合格最低点非公表
男子:63 (定員140)
女子:70 (定員50)
※定員は内部進学状況により若干の変動あり
法政二中
1回 合格最低点
2021 2018
男子:56 (定員90) 250 221 233 231
女子:58 (定員40) 262 230 244 244
2回
男子:57 (定員50) 254 216 251 222
女子:59 (定員30) 266 236 262 233
市川
第一回 合格最低点
2021 2018 2015
男子:64 (定員180) 223 226 246 220 238 266 235
女子:66 (定員100) 230 226 248 221 241 271 237
男女別定員がある学校はとりあえずこのくらいかと思います。
偏差値の差が顕著になっており、
早実は合格最低点も女子のほうが高い傾向です。
また、点数は公表されていませんが、
慶應中等部もそのように言われています。
もちろん女子のほうが倍率が高いので
基本的には各数値が高く出るのも自然なのですが、
女子は単純に上位校の選択肢がやや少ない上に、
男子と比較すると、
女子は御三家と慶應中等部を併願するケースも結構多いように思うので、
そうした点から受験者のレベルが高く、
激しい競争となっているのかもしれません。
また中学入試においては
どのテストにおいても
算理社:男子>女子
国:女子>男子
総合成績:男子>女子
となっているため、
女子だけの偏差値は、男子のみや男女混合の偏差値に比べて
高く出やすいのかもしれません。
このあたりは、あまり実用的な内容でもないので、
よくわかっていませんが・・・
法政二については、定員差のわりに
四谷大塚偏差値ではさほど差がついていませんが
合格最低点は一貫して女子が高くなっています。
一方、市川は定員差のわりに、合格最低点には差がないといえます。
もしかすると、男女の最上位層で比べた場合、
男子のほうがより市川を受験している、
ということなのかもしれません。
また、この記事のように、
男女別定員を取っていない学校でも、
志願者数に顕著な差がある場合の男女比調整や
志願者にさほど差がない場合でも
学校に都合のいい男女比(2:1など)を目指す、
といった観点などから
女子の合格最低点を高めに設定している学校もあります。
青山学院のようなミッション系、
渋々や広尾学園のように帰国生や英語に力を入れている学校は
女子(一般的に英語を好きな比率が高い)人気が高いので
入試は厳しくなります。
このような学校は、
共学の中でも女子には特に居心地がいい可能性がありますが、
男子はやりたい部活の有無なども
よく検討する必要があると個人的には思います。
なお、早慶やマーチ附属のケースなど、
比較的上位校では、女子の入試が大変、ということが多いのですが、
逆に男子のほうが入りにくい学校もあります。
第一回
2021四谷大塚結果偏差値 2020合格最低点 2019(同)
男子:45 (定員80) 189点 172点
女子:45 (定員80) 166点 155点
(志願者も男子のほうが多いです)
これは学校の人気もあるかもしれませんが、
「女子は、男子の筑駒や、いわゆる神奈川御三家、準御三家、
といったレベルの学校の選択肢がやや少ない一方、
中堅・下位の選択肢は広い」
といった原因もあるのではないかと思います。
また、日大二中から日大への内部進学率は3割程度ですので、
エスカレーターを望む層は敬遠しているのかもしれません。
長々と書いたわりにそんなに目新しいことは書けませんでしたが、
やはり一般論やイメージ、偏差値表だけに惑わされず、
志望校についてしっかり把握しておくことが大切だと思います。
※早稲田実業は2022年の入試から、
男子の定員を85→70に減らすと発表しています。
よりきめ細かい教育を行うため等が理由とのこと。
ちなみに高校入試でも2022年から、
180→120(推薦入試等すべて含む)という定員減を予定しているようですので、
それらの影響により、
今後数年間にわたって学費を値上げすることも同時に発表しています。
(現在の初年度負担は112万8000円のようですが、
2025年には132万円となる模様)